研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 024/092page
3.教材研究の視点と具体例
教材研究の視点を大別すると,「教材内容についての研究」,「指導過程の研究」,「指導方法の研究」,「評価法の研究」などがあります。
これらすべてについて述べることはスペースの関係で無理があるので,本稿では,「教材内容の研究」に重点的にのべながら,「指導過程の研究」についてもふれることにしたい。
また,これらの研究の進め方が一般論になることをさけ,研究の日常化をはかれるために,毎日の授業実践のための具体的視点についてのべていくことにしたい。
教科書を教えるのでなく,教科書で教えるのが大切だといわれますが,具体的にはどんなことでしょうか。
教科書には,1つの教材または題材についてのべようとするとき,そこに含まれている原理・法則や性質についてすべてふれているわけではありません。
生徒の実態や能力に応じて,教師が取捨選択したり付加することができるようにするため,あるいはまた,教師の教材観によって展開できるようにするため,等々の余地が残してあるものです。したがって,教科書にのべられていることがすべてであってしかも完全なものでは決してありません。教科書に記されている内要のうらにかくれているもの,背景になっているもの,あるいは,バラバラに記されているものを統合した見方をするために,"教科書の行間を読みとる"努力が必要です。教科書を教えるのでなく,教科書で教えるといわれる理由がここにあります。
〔例〕 相似の位置にある図形(拡大・縮小)
相似の位置,相似の中心を定義したあと,拡大や縮小する方法の例としては,教科書としてはせいぜい次のような図が示されてあります。
(G社の例)