研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 027/092page
教材を分折し,構造化したところで授業案を作成することが大切だといわれますが,教材の分折・構造化とは具体的にどんなことを意味しているんですか?
計算ができない,方程式が解けない,文章題がわからない,等々がよくいわれます。
授業するにあたって,わたしたちはこのような大まかな分折は許されません。もっとそのことを深く分折し,教材構造を確立しておくことが必要です。
次に例をあげながら,教材分折のあり方をのべてみることにしよう。一口に文字式の計算といっても,そこにはじつに多くの種類の計算が包含されている。
ここでは,大別すると次の2つになることをまず理解せねばならない。
A→A'→A"……(T2,T4)
A=B
↓
A'=B'
↓
A"=B"
↓
……(T1,T3,T5)
つまり,等式の両辺を同時に問題にして両辺のバランスがくずれないようにして行う操作()と,各辺で独立して行うことのできる操作()の2つである。
文字式の計算というと,今までは型のものが暗黙のうちに考えられ,型は方程式の解法の中で,その解法に必要な移項や分母をはらう問題としてつけたしのように扱われてきたにすぎない。つまり,方程式解法の中で生徒にとっては,等式変形の技法と方程式の解法という2つのことを同時に学ばねばならず,いたずらに混乱をまねいていたことを分折できなければならない。
さらに,"移項"や"分母をはらう"という操作は,単に方程式解法のみにとどまらず,数学の大部分の領域でいつでも用いられるもっとも基本的な操作であることに気づき,もっと重要視し独立させて指導する計画を立てねばならないことを意味している。このことを,わたしたちは見のが