研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 029/092page

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教えることと考えさせることを明確にしてから授業に入るようにいわれますが,教えることと考えさせることはどのような視点から区別していけばよいのですか?

 数学の指導にあたっては,ある知識や技能を習得させるとき,単なる機械的な伝じゅでなく,新しい数学を作りあげていこうというプロセスをたどることが要求されています。そのためには,論理的に筋道のたった指導をすることが必要なことはいうまでもありません。

 このことから,考えさせていく学習が要求されてきます。しかし,考えさせるということは,つきつめて考えると意外と難かしいことが分ると思います。
 考えさせようとしたことが単なる時間の浪費にとどまってしまったり,考えさせることに意味のないところを強調してみたり,もっともらしい、思考場面を構成しながら実際には誘導尋問に終始したり,ということが多いものです。
 考えさせる場面を構成する視点としては,まず,教材のもつ教育的価値を抽出することにあります。

 教育的価値という難しいことばが苦手であったら,その教材に内包している数学的なアイディアのすばらしさを抽出することにあるといいかえてもよいでしょう。
 その数学的アイディアのどの場面について考えさせ,工夫させ,発見させることができるか,また,そのためにはどのような基礎的事項を整理してやればよいのか,等々をからみ合せて授業を構成していくことが大切であります。

 天才的な数学者が苦労して発見した法則や定理を,全く同じような白紙の場面を用意しておいて考えさせても全く無駄なことになりましょうし,余りにも準備しつくされた場面から結論を導かせることも無意味なものです。
 教材研究を深め,数材のもつ構造を明確にし,自己の教材観を確立することによって初めて考えさせることと教えることを明確にすることができるようになります。
 具体例を次にのべてみよう。

〔例〕 一筆がき
 この教材には,大事な2つの数学的なアイディアが含まれている。これを明確にしておさえておかないと,単なるクイズに終ってしまう危険性があります。
 つまり,
@ 与えられた課題(問題)を数学化(数理化)すること。
(島を点に,道を線に,ドアを点になど)
−位相変換の考え−
位相変換の考え


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