研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 036/092page

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〔例〕 文字式とMathematical Sentence
 次の問題で,はできるがはできないということがよくあります。数学的にどんなことが問題なのかを考えてみよう。
〈問〉 全体集合∪={1,2,3,4,5}とするとき,
 ある数を5倍して2を引いたら13になった。ある数はいくらになるか。
 方程式5x−2=13の解の集合を求めよ。

もちろん,の内容を一応指導したあとでのことである。考えられる理由としては,
・方程式,解の集合ということばの意味がわからない。
・xが何を表しているかわからない。
・等式の意味がわからない。
・5x−2=13をオープンセンテンス(open sentence)としてみることができない。
・open sentenceとは何かわからない。
つまり,における日常生活上の文と対比してにおける5x−2=13をmathematical sentence(数学上の文)としてみることができないことに根本的な理由があるわけである。

 ではこのことを解決するのに必要なことは何かというと,
・文字をプレースホルダー(place holder)あるいは変数(variable number)としてみることができる。
・条件文は,指示・命令の部分を省略することが多いという数学上の慣習を知っていること。
などがあげられよう。このことから,新しい観点に立った文字式指導の必要性がうかんでくる。従来のように,定量としての文字を指導することによって,いつのまにか変数としてとらえていくことを期待していた指導法に対して反省しなければならないことを意味している。

 このように,生徒のつまづきに対する予測から,自分なりの新しい指導計画を作成し実践していくことができるようになるわけです。
 新しい文字の指導法としては,関数指導のときによく用いられるブラックボックス(B・B)を活用した例が報告されています。
 プレースホルダーとしての文字,変数としての文字を導入するのには大変有効であることが実証,されています。

1つの基本的なことが解決したら,それをもとにして発展的にとりあげ,さらには統合化していくことが必要だといわれています。具体的にはどんなことですか?

 一見,個々バラバラであるかのようにみえる性質や法則などを,1つの視点から目をむけたとき,全く同一の仲間,同じ構造をもつ仲間とみられるとき,統合化(to unify)した見方ができたと考えてよいでしょう。図形指導では,とくにこの考えを生徒に養っていくことが大切であると考えられます。

 このためには,class(set集合)の見方が大きなウェイトをしめてきますし,この考えを十分に強調しないといけません。
 1つのものを発展的にとりあげ,統合化した見方をしていくためには,いつでも,次の4つの見方が基礎になっているといわれています。
class(set集合)
order(順序)
variable(変化)
correspondence(対応)


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