研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 008/081page

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提示装置として専用にする場合はともかく,一般用には使用できなくなる不便さがある。TVカメラがまだまだ普及していない現状では,このようなカメラ本体の改造はできるだけ控えて,取付け金具を工夫したり,反射鏡を2枚用いたりして利用し,多目的に利用できるようにしておきたい。

(3) 加筆提示の工夫

 筆順や,書道の際の筆の運び方などを提示する際には,そのまま真上からとらえたのでは,手先が大きく映し出されて見えにくいものである。
図−9 トレーシング装置(仮称)
図−9 トレーシング装置(仮称)

このような場合には,マジックインクや墨で紙面に記入したときに裏面ににじみ出ることを利用して,カメラで裏面からとらえる方法便利である。ただし,裏面からそのままとらえたのでは,記入しているものと逆になるので,反射鏡を用いて反転させ,正しい像にもどしてからとらえるようにすればよい。また,表面からの光が強いと,手や筆記具の影が出て見にくいので,裏面(下面)から光をあてて,記入されていく様子だけを映すようにしている。この方法は,あまり利用されておらず,なじみの少ない撮影法であるが,新出漢字やアルファベットの筆順などを,子どもの反応を見ながら対面提示していくには適切な方法であり,筆記具や手先で肝心な文字の部分を覆い隠してしまうことなく提示できる長所をもっている。特に毛筆による運筆の「速さ」や「止め」あるいは「筆の扱い」などが生き生きと提示でき,書道の指導にも効果的である。(図−9)

5.教材提示装置の試作

 年間数回の録画の折にしか利用されていないことの多いTVカメラを日常の教授活動にもっと利用していくために,これまで述べてきた利用法の数々をより効果的に活用できるように,写真のような「マルチ教材提示装置」(仮称)を設計製作した。
これは次に示すように多目的に利用できる。
マルチ教材提示装置」(仮称)
・図書,写真資料,作品やノート等の提示
・16mm・8mm・コンセプト・スライド等のフイルム教材の提示
・実物(模型,標本,実験実習機材,立体的な作品等)の提示
・筆順や運筆のようすの提示
・各種の演示等で拡大したり,特定方向からの観察を要する内容の提示
 この装置の機構は,図−10に示したように,三つの機能を一つにまとめた,いわば,3in1の教材提示装置である。
図−10 自作マルチ教材提示装置の機能
図−10 自作マルチ教材提示装置の機能

(1) 資料提示と各種映写機の利用

平面的な資料を提示するには,図−6〜8の方法があるが,いずれも一長一短があるので,本機では,図−6の方法に,自在継ぎ手を取り付け,図−11のように向い側にしカメラの取付ねじを手前に
図-11
図−11


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