研究紀要第38号 学習指導に関する研究 - 009/081page

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した。そのため,カメラの調節や資料の操作がとてもたやすくできるようになっている。

 一般のカメラにおいては,被写体までの近接距離は70cm以上のものが多く,カメラを垂直上部に取りつけると,かなり高くなり,提示台の安定性も悪く,また,しぼりや焦点などの調整もしにくくなるので,接写レンズをつけて適切な高さに調節する必要がある。(本機では×2を使用した。)

 本機は,OHP同様に手軽に,しかも,対面操作できるようにしてあり,提示面(ステージ面)の高さは,腰をおろしても,立って提示しても便利なように,一般の事務用机の高さ(75cm)程度にしている。また,脚部にはキャスターを取り付け,室内はもとより他室への移動もし易くしている。このため,教室内で提示する際に最も適した位置に移動できるし,他の学習形態をとったり,使用しない時には片隅に片付けるのにも便利である。

 カメラの真下(右側ステージ)には,B5判の半透明の透過スクリーンがあり,前面下部の開口部から,反射鏡によって各種映写機からの映像を写し出せるようにしてある。これによって,すでに導入してある機器を併用することができ,フイルム教材の明室での利用が可能となってくる。

 これで,ステージ面にのせた写真,絵,図表などの資料と各種フイルム教材を即座にテレビ映像として提示できるわけである。

(2) 筆順・書導指導に便利なトレーシング装置(仮称)

図−9に示したものを,実際には図−12のように,カメラを向い側に倒立に取り付けた。これは,透明ガラスのステージ面が奥に行きすぎて,書道の際などで姿勢が不自然になることを避けるためである。
図-12
図−12
これで,写真に見るように,透過スクリーンと,この透明なスクリーンが手前に左右に並べられて,外見上も操作の上でも好都合になったわけである。

(3) 立体物の提示

これまで,平面的な資料の利用のための装置について述べてきたが,テレビカメラの特性ともいえる立体的な教材の提示も,このステージを用いてできるよう工夫した。これは,三脚でも十分できることであるが,実際に利用してみると,脚部が操作のじゃまになったり,子どもが三脚につまづき,カメラを倒すこともあるなどして,案外不便なものである。そこで,図−11のカメラ取付部分を図−13のようなレキシブルアームにして,どの位置からも被写体をとらえることができるようにしている。なお,カメラ取付部はCCTV用の半固定雲台(市販)を用いている。
図−13 フレキシブルアーム(頭部)
図−13 フレキシブルアーム(頭部)
 これらの装置によって,カメラアングルを自在にとることができるので,補助照明なども加えて提示の意図を明確にしたより効果的な映像を作ることができる。

 試作機は,「少ないTVカメラを有効に活用できるように」その用法によって,カメラの取付位置を変えるようになっているが,予算が許せば,2箇所にカメラを取り付け,双方の利用を即座に切り換えることも可能である。また,モニターやカメラ切換器,あるいは,特殊効果発生装置などを加えて,更にグレードアップすることは可能ではあるが,現状にあっては,日常の授業の中で,OHP並みの気易さで,どしどし利用できるようにすることが先決で,1台の提示機に多額の費用をかけ,いたずらに操作をむずかしくすることは避けたいものである。本機は構造も簡単で,自作も容易である。しかし,自作品の場合,製作を担当した人は良く活用しても,人が変わってしまうと,そのままホコリかむってしまう傾向が多いの


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