研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -004/080page

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・Y−G性格検査
・器械運動の好き嫌い調査
・運動技能の自己たしかめ

児童の自主的な活動を中心とした授業展開を図り,児童の課題に応じた個別指導を配慮する。(小単元内課題別学習)

[2] 解決策

〈1〉 「学習メニューカード」を使って,児童人一人に,自らの「意志」で課題・メニューを選択・作成させ,課題解決のための「具体的めあて」を立てさせ,
〈2〉 「具体的めあて」をもとに,個に応じた指導・援助を行い,
〈3〉 学習について,自己評価・相互評価をさせて自己理解を深め,課題解決への意欲を喚起させる。

(3) 研究の結果

[1] 検証授業

解決策に基づく検証授業を9〜11月の期間中継続し,3回の授業研究を実施した。

[2] 解決策の効果の判定

解決策の効果は,検証前(9月上旬)と検証後(11月下旬)に実施した,(ア)器械運動についてのアンケート,(イ)イメージテスト,(ウ)児童の感想文,(エ)運動技能の自己たしかめについて前後の変化を比較した。

その結果,(ア)と(イ)の検定により,学習の楽しさや充実感と深くかかわる項目で有意差が見られ,また,(ウ)と(エ)からも教師の意図的・計画的な「個の意志を生かす働きかけ」による効果と判定できることが見られた。更に抽出児の中から3名を選び,指導過程や運動技能の自己たしかめをもとに具体的に考察した。

このような結果から,我々は,本研究における解決策を小単元内課題別学習におろすことにより,児童一人一人に楽しさや充実感のある体育学習を成立させるようになるものと考察することができた。

(4)研究のまとめ

本研究を推進する過程において,「個の意志を生かす働きかけ」の効果的なあり方を小単元内課題別学習を通して追究されてきたが,その主なものを解決策とのかかわりで述べる。

[1] 課題設定と解決のめあて

児童一人一人が,学習内容を自分自身の課題として意識し,課題解決の見通しをもったときには,自ら学ぶという意欲が喚起され,課題解決に向かって根気強い学びとりが行われたこと,また,明確な課題意識に支えられた学習においては,その過程において,つまずきを克服していいくことが確認された。

[2] 個に応じた指導援助

児童の「意志」を生かすために,課題設定や課題を解決させるに当たって,これを児童自らの問題として考えさせ,その考えや活動を共感的に認め,児童一人一人の課題に応じた具体的を働きかけを工夫した。

[3] 学習メニューカードの活用

学習メニューカードは,小単元内課題別学習を進めるには欠かすことができないものである。研究の初期の段階では,児童が学習メニューカードに記入するのにかなりの時間を要したが,学習方法が身についていくにしたがって,記入も短時間でできるようになり,意欲的な姿が見られ,課題設定と解決の用具として効果的であった。

[4] 具体的めあての共有意識と相互評価

学習メニューカードを使って,毎時の「整理」の段階で練習グループごとに,自己評価,相互評価をさせたが,その際にグループ員がお互いに友達の努力を認め合うようにさせた。その結果,学習の成果を高めるために役立つことはもちろん,自己理解を深めることが課題意識を高めることにも役立つことが確かめられた。


以上述べたように,第2年次においては,個の「特性」や「意志」を生かすことによって,児童一人一人に喜びや楽しさ・充実感のある学習の成立を目指す学習指導のあり方を図画工作科と体育の授業を通して追究しようとしたものである。


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