研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -017/080page

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ウ 学習プリント

ある内容を学習した後で,その内容についての自己のつまずきや到達の度合いをとらえ,個に応じた学習を進めることができるようにすることは,より確かな力を身につける上で,非常に大切なことである。特につまずきのある場合には,そのつまずきの原因がどこにあるのかをはっきりさせ,それを解消させる手だてを講ずる必要がある。

そこで,形成的評価問題,予測されるつまずきの原因とその解消のための補充問題,コース別学習課題からなる学習プリントを作成し,個のつまずきや到達度に応じた学習(分枝型学習)を進めやすくするために使用した。なお,実際の授業での学習プリントの使い方は20ぺ一ジの指導案の指導過程に示してある。

学習プリントNO3

ここで,コース別の学習課題の内容について,簡単に述べておきたい。

原則として,Aコースは基礎的な問題,Bコースは標準的な問題,Cコースは応用・発展的な問題とする。ただ,学習内容によっては,上の学習プリントの例のように,AコースとBコースの問題にあまり質的な違いがない場合もある。そのときには,問題の量によって個々の生徒の学習の速度差に応じられるようにした。なお,Aコースを終えてBコースに進む場合には,上記の例のように,Bコースの4(○囲み),5(○囲み)に進ませるなどの配慮をし,次のコースに取り組ませやすくし,生徒の学習意欲の向上を図ろうとした。

次に,上記の学習プリントの例をもとに,B子の学習の進め方について具体的に説明をする。

B子は,例題3 x−2=5 x+4の解き方について学習した後で,3問の形成的評価問題に取り組んだが,(3)の問題を誤った。その原因は,−5 x+2 xの計算のつまずきであることから,そのつまずき解消のために2(□囲み)の問題を復習した。ここで教師のもとに行き,つまずきが解消できたことの確認を受けBコースに進んだ。Bコースの問題を終えたところで再び教師のチェックを受け,全問正解でCコースに進み,3(○囲み),4(○囲み)の問題を解き終わったところを示している。


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