研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -024/080page
4 研究の結果と考察
(1) 前提条件・事前・事後テストの結果の比較
事後テストの結果を次の3点から考察した。一つは,事前テストの結果と比較し,問題ごとの有効度指数を求めて,得点の伸び率を検討した。二つめは,各テストの結果のS−P表を作成し,事後テストを中心に生徒の反応傾向などについて検討した。三つめは,前提条件テストと事後テストの問題およびその正答率とから,前提条件との関連を検討した。
[1] 事前・事後テストの結果の比較 (生徒数42名)
検証授業で学習する内容について,学習の事前と事後に同一問題でテストを実施した。各問ごとに,事前テストの正答者数と事後テストの正答者数をもとにして有効度指数を求めて,指導の効果を判定しようとした。
事前・事後テスト問題
次に,出題のねらいについて簡単に触れておく。問題1は,方程式の解の意味を理解しているかどうか,問題2は,簡単な1次方程式を,等式の性質を用いて筋道立てて解けるかどうかを確かめるものである。そして問題3では,1次方程式の代表的な問題を10題出題し,その解法についての習熟の程度を評価しようとした。これらのねらいは,いずれも単元の目標に対応している。
表1は,事前・事後テストにおける各問のクラスの平均正答率と有効度指数を示したものである。
上の表によれば,事後テストにおいて,15問のうち13問は到達基準に達しており,また,有効度指数60に満たない問題が4問あるものの,「1次方程式の解き方」について,全体的にみてほぼ達成されたとしてよいであろう。特に,問題2の有効度指数が90を越えたことは,1次方程式の解き方の基本がよく定着したことを示している。なお,表中の到達基準は,協力校の生徒の実態,前提条件・事前テストの結果,全国的な診断テストの結果などをもとにして,