研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -029/080page
習プリントなどによりフィ−ドバックし前提条件のつまずきを解消したものと思われる。
なお,表5−1,表5−2では,両方の問題を誤答している生徒がともに7名いるが,そのうち6名は同一生徒で両方に該当している。
また,前提条件テストで○でありながら事後テストで×になった生徒が,表5−1で2名,表5−3で1名いる。これらの生徒は,いずれもケアレスミスをしがちな面をもっている。
(2) アンケ−トの結果の比較
「数学の学習」に対して,生徒たちの取り組み方や意識がどう変容したかを調べるため,事前と事後に同一質問紙で5項目について調査した。
1.数学の学習は好きですか,きらいですか。
ア 好き
イ どちらかといえば好き
ウ どちらかといえばきらい
エ きらいこの調査の結果をまとめると次の表のようになる。例えば,表中の※欄の数値5は,事前の調査でウと回答し,事後の調査ではイと回答した生徒の人数である。
\ 前 後 \ ア イ ウ エ 計 ア 3 5
8 イ 2 8 ※5 1 16 ウ 1 1 11 2 15 エ
2 1 3 計 6 14 18 4 42 この結果から,統計的には有意差は認められない。しかし,事前の調査でイと回答した生徒14名のうち,事後の調査ではアと回答したのが5名いるなど変容がみられる。
エ→ウ→イ→アの向きへの変容を「+変容」,その逆向きへの変容を「−変容」と呼ぶことにすると,表中の網点の対角線の右上の部分に「+変容」,左下に「−変容」した人数が示されることになる。この場合は,
+変容13名(上位群1,中位群8,下位群4)
−変容6名(上位群0,中位群3,下位群3)
変容なし23名(上位群10,中位群7,下位群6)
となっている。中位群の「+変容」が目立ち,上位群は事前でアまたはイと回答している生徒がほとんどであるため,「変容なし」が大部分になったと考えられる。
2.あなたは,めあて(何を学習するのか)がはっきりわかって授業にのぞんでいますか。
ア めあてがわかって授業にのぞんでいる
イ どちらかといえば,めあてがわかっていることが多い
ウ どちらかといえば,めあてがわかっていないことが多い
エ めあてがわからないで授業にのぞんでいる
\ 前 後 \ ア イ ウ エ 計 ア 6 7 1
14 イ 2 9 6 1 18 ウ
3 6
9 エ
1
1 計 8 19 14 1 42 危険率5%で有意差が認められた(t検定)。「学習のめあて表」が生徒によく活用されたためと考えられる。
+変容15名(上位群5,中位群3,下位群7)
−変容6名(上位群2,中位群2,下位群2)
変容なし21名(上位群4,中位群13,下位群4)
下位群の生徒の「+変容」が目立つ。3.授業が終わったあとで,あなたは,何がわかって,何がわからなかったかを考える(見直す)ことがありますか。