研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -031/080page

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◇アンケートおよび事後テスト得点の相関

13ぺ一ジの「研究の内容」で述べたように,数学の学習についてのアンケートは,この研究の「解決策の効果の判定」をするための資料である。したがって,アンケートの項目はそれぞれ三つの解決策を意識して作成した。これらの解決策は,一人一人に確かな学習の成立をはかるために設定したものである。

ここでは,アンケートの5項目間の相関係数及び,この5項目と事後テストの得点との相関係数を求め,表6を作成した。

表6 アンケート・事後テスト得点の相関係数
表6 アンケート・事後テスト得点の相関係数

(注1) アンケートに関しては,回答項目のア,イ,ウ,エにそれぞれ4点,3点,2点,1点を与え,事後調査の回答の結果より相関係数を求めた。なお,アンケート項目については29,30ぺ一ジ参照。
(注2) 相関係数の値によって相関の度合いを次のように表現した。
0.00〜0.20ほとんど相関がない(無印)
   〜0.40やや相関がある(*)
   〜0.70かなり相関がある(**)
   〜1.00かなり強い相関がある(***)

データ数が42名と少なく一般化することはできないが,表6から項目間の関連を考えてみる。

○アンケートの項目間の関連

はじめに,「ほとんど相関がない」と現れた三つの関係をあげてみる。

「ほとんど相関がない」と現れた三つの関係

つまり,つまずきが多いか少ないかは,めあてがわかって授業にのぞんでいるかどうか,授業が終わった後で見直しをするかしないか,また,つまずいたとき調べるかそのままにしておくかといったこととは,あまり関連がないということである。

次に,「かなり相関がある」と現れたのは次の四つの関係である。

「かなり相関がある」と現れた四つの関係

つまり,数学の学習が好きだということと,授業が終わった後で見直すこととは,かなり関連があるし,見直すこととつまずいたときに調べることとも,かなり関連がある。また,数学の学習が好きだということと,めあてがわかって授業にのぞんでいることとは,かなりの関連があるし,めあてをもってのぞんでいることとつまずいたとき調べたりすることとは,やはりかなりの関連があることになる。

○事後テストの得点とアンケート項目との関連

6  事後テストの得点」は,表に示すように項目5とかなり相関がある。つまり,つまずいたとき調べたりすることは,得点が高いこととかなり関連があることになる。また,事後テストの得点は,アンケートの他のいずれの項目ともやや相関があるが、なかでも,項目1とは関連が深い。しかし,数学の学習が好きだから高い得点をとったのか,できが良いから好きになったのか,その因果関係はこの表からはわからない。いずれにせよ,好きということが,数学の学習にうまく適応できる最も重要な項目だと読みとれる。


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