研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -060/080page
観点No.5 ,「自分に合った課題に取り組むことができるようになったか」について
司会:観点No.5についてお願いします。分枝型学習形態のもとで,生徒たちはそれぞれ自分に合った課題に取り組んでいたかどうか,教師の机間指導の様子も含めて発表して下さい。
S: 上位群のこの生徒は,1 ◎,2 ◎,3 ◎,4 ○,5 ○,6 ×でCコースから入ったわけですが,Cコースの自由表現のところで1をまとめたあと,2でもっとよい英文をということで時間をかけすぎ,Bコースの課題がやや粗雑に終わってしまったようです。はっきりした基準がないのは,生徒たちに主体性をもたせるということでは大変よいのですが,多少とまどうのではないかと思います。
K: そうですね。私の観察した生徒はちょうどその逆で,5は補説英文のあとにできたので○なのですが,Bコースから入りました。結果的には,教師の「Cコースを中心にやってはどうですか」の指導で全部終了しましたが,一ランク下のコースから入った生徒が多かったようです。安全なコースからという傾向のためか,それぞれの生徒の性格的なものだと思います。
N: 教師がコースをおしつけた感じは全くありませんでしたね。ただ,よく生徒の特性を把握して一人一人にきめ細かい指導をしていたようです。
T: 中位の生徒ですが,Aから入ってBの絵を見ながらの自由表現まで意欲的に行っていました。教師の「Cの2の一つだけは発表できるかな」の指導でその問題に取り組みましたが,無理だったようです。
Y: 下位の生徒のI君ですが,AのT or Fテストのあと,Q and Aに全力を出していました。Bのコースまでは到達させたいという教師の日頃の指導はかなり定着していたように感じました。M:観察者は,生徒の本当の実態を知らないので,本当に妥当なコースを選択しているかどうかはわからないと思うのですが……。 司会:それでは,授業者からお願いします。
橋本: Y子とN子は,Q and Aのときに全く同じ結果が出たわけです。5つ◎で,2の問いに対しては○でした。Y子は,Aコースを選んでCコースまで到達した。N子の場合は,CコースからAコースに進んだわけです。F子は,前回はどんなに励ましても賞賛してもCコースは選択しなかったのですが,今回はこのコースに挑戦してくれたので,とてもうれしく思いました。M男は,今日は全部◎という結果が出ましたが,Bコースから入りました。私はそれでよかったと思いました。CコースはM男にとってはきついからです。これは,形成的評価のためのQ and AのQを作る段階で十分考慮しなければならないことであり,今後の課題だと思います。 <考察>
生徒は,形成的評価問題のQ and Aのでき具合いだけで各コースを選んでいたようであるが,教師は,常日頃の各生徒の徴候観察の上に立って適切なコースの選択について指導をしていたので,問題はなかったと思う。ただ,自分に合った課題からスタートしても,3コース全て消化しようとするためか,粗雑な取り組みになってしまったことも事実のようである。Bコースを中心としても,もう少し余裕を持って,分枝型形態の特色を生かし,じっくり行わせる必要があった。観点No.7 ,「個に応じた働きかけができたか」について
司会:観点No.7は,教師の指導・援助の様子です。よろしくお願いいたします。
H: Aコースが全部できている生徒にも再確認の働きかけをし,Bコースのつまずきに対する指導をしていました。個に応じた働きかけができたと見受けました。
W: E男ですが,Aコースの4番で指名されて,