研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -069/080page
で,そのすべてが,「役立った」,「よかった」と肯定的感想を述べている。しかも「1〜6の問題は,やっぱりだんだん難しくなっていると思ったが,そういう出し方は,やっている方からすると,自分の程度をみることができるし,だんかいを重ねる方が,やっぱり気分的にいいようだ。気分的にいいとは,どういうことかというと,最初に簡単な方をやっておくと,そこらへんはわかるから自しんがついて次の問題に対する意欲がわくのです。」(Y子)と,「形成的評価問題」は,難易度によって,問題が段階的に配列されていて自分の到達度をはかるのによいと,その出題意図を,ほぼ的確に酌み取っているようである。
なお,「英問英答による形成的評価問題」が,生徒にどのような点で役立ったかについては一様ではない。例えば,「英語の疑問文の答え方がわかるようになった。」(U子)や「ぼくは話し方や聞き方が不得意だが,よかったなあと思うのは,英語の質問の聞き方のポイントを覚えたことだ。」(F男),「英問英答の勉強は,僕にとって本文を覚えるということでとてもよかった。また,本文を覚えることによって,その単元の文法も,文ごと用法といっしょに覚えることになってよかった。」(J男),「6ケの英問英答で,今までわからなかった答や,この答え方だから,文のでだしはあの単語をいれればいいとわかるようになった。」(M子),「英問英答を通じて,一人一人の答える回数が多くなるのはよいことだ。」(N子)などまちまちである。
しかし,「補説問題」については,「質問の5番6番になると質問の1回だけでは,分からず補説を聞いて分かったりした。」(W子)とか「こたえがわからなくても,先生が補説問題をやってくれたので,だいたいわかるようになり,授業に身が入るようになった。」(I子)とか,「補説問題は,私は必要だと思います。私の場合の補説問題の活用法は,私はどんな簡単な問題の場合でも,いつも,なんとなく不安なので,補説問題は,その不安を解決するのに一番いい手段だと思うし,その答えを発表させられる時も,自信をもっていえるのでいいです。あと,全然わからない問題の場合でも,補説を聞くことによって,わかってしまったりなんかして,すごくいいです。」(D子)などにみられるように,不安の解消やつまずきの解決に役立ったという点で一致している。
[3] 「コース別学習課題」 について
「コース別学習課題」について述べた者は,40名中12名(男子8名,女子4名)で,そのほとんどが,「コース別におこなう問題は,よかった。だからつづけてほしい。」(S男)や「英問英答のあとのコース別学習はよかった。」(R子)にみるように,おおむね肯定的意見が多かった。そして,「コース別学習課題」を「よし」とする理由は次の三つに大別されよう。それは,一つには,「コース別問題なんですが,その場合,自分でコースが選択できるのがうれしいですねェー。」(L子)のように,生徒自身が,自分の到達度に応じた問題を選択できることである。二つには,「コース別の問題は,前の時間の授業の復習になってとってもいいと思います。だから,私はコース別の問題のプリントを,家でもう一度復習するように心がけています。この前の中間テストでも,私はコース別問題でやったところを思いだしてやりました。」(E子)というように,復習に役立ったということである。そして,三つ目には,「コース別にやるというやり方をしていますが,その時,先生が,一人一人まわって解説をつけてくれることは,非常に気にいっている。」のごとく,個別指導が行われたことであった。
また,コースの選択については,「コースの選択は,初めにやった6この問題できめていた。たとえば,1と2ができていたらAコースから,3と4ができていたらBコースからというようにしていた。」(D男)のように,生徒それぞれの到達度に応じて,適切に行われていたようだ。
以上のように,「コース別学習課題」についてはほぼ好評であったが,少数ではあるが,「コース別に分けて学習するのはいやです。」(K男)