研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -070/080page

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や「コースに分けてやるやり方は,先生にはその生徒の力がわかっていいかもしれないが,なんとなく好かない。」(F子)のように否定的な意見もみられた。その理由は,おおむね形成的評価問題の出来具合いによってコースを選択し,それをアンサーポールで表示するので恥ずかしいということのようだ。

[4]  「検証授業全体」 について

この「検証授業」全体にわたる「よかった」「役立った」,「わかった」,「めんどうだ」,「苦労する」,「恥ずかしい」などの感想を分析整理すれば,次のとおりになる。

・「よかった」…………24名(男子13名,女子11名)
・「大体よかった」……8名(男子3名,女子5名)
・「よくなかった」 ……8名(男子5名,女子3名)

したがって,「よかった」と「大体よかった」とを合わせれば,40名中32名(男子16名,女子16名)となり,この検証授業に好意的な感想を述べていた者が,80%にものぼることになる。

「よかった」とした主な理由は,「わかる,わかった」(15名),「できるようになった」(5名),「実力がつく」(3名)で,この検証授業が,認知面に有効にはたらいたことがわかる。そして,「よくなかった」とした主な理由は,「めんどうだ」(4名),「苦労する・大変だ」(2名),「恥ずかしい」(2名)であった。「めんどうだ」というのは,授業過程の評価の手段として用いたアンサーポールの操作が,まだ慣れていないため,わずらわしく感じたようである。「苦労する」というのは,「学習のめあて表」の目標文を暗記するので大変だということらしい。また,「恥ずかしい」というのは,「コース別学習課題」を行う際,形成的評価問題の出来具合いによってコースの選択をし,どのコースを選んだかをアンサーポールによって表示することに抵抗を感じてのことのようだ。しかし,長い間継続することにより,この問題は解消し,生徒たちはアンサポールを堂々と表示して,先生の個別指導を待つ姿勢ができてくるものと確信する。

なお,検証授業全体については,Y男とS子の男女それぞれ一人の生徒が,比較的まとまった感想を述べているので,二人の感想文全文を掲げることにする。

〈Y男の感想文〉
3年になって,アンサーポールを使った授業をするようになってから,なんとなく授業に真剣さが現われるようになったと思う。それは第一に,大事な文や大切な文型などは暗記をしていないと後で困るからである。そしてその暗記していた文は今だ頭の中にある。暗記すればおえる。おぼえれば問題が解ける。問題が解ければ楽しくなる。楽しくなれば英語の授業が好きになる。好きになればまた暗記する。というように最後には,大きらいだった英語が今では,比較的好きな教科になっています。

〈S子の感想文〉
今度のアンサーポールを使った授業について,私はこう思う。まず良い点は,大切なことなどをきちんと覚えられる。また,わからない所も覚えられる。それに,授業もまじめにとりくむようになったことが,良かった,などである。しかし,予習や復習をやらなければ,ついていけないこともある。それだけに家での家庭学習もきちんとやらなければならない。アンサーポールを使った授業は,授業がおわったときに,「充実したなあ」と思うから,これからも続けてほしいと思う。


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