研究紀要第51号 「学習指導の個別化 個に応ずる研究」 -074/080page

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(6) 授業者の感想

「個の確かな学習の成立をめざす研究」を実践して

授業者 福島市立岳陽中学校教諭
              橋本 倫子

きらきらと目を輝かせ,やる気十分だった生徒の多くが,いつの間にか英語嫌い・わからないを訴えている。いたらない私は,申し訳けなさと同時に,ああして,こうもしてと生徒の学習のお手伝いをしたいと願いつつも,少しも成長しないまま,日々を送ってしまっている。今回,研究協力校の一員として,英語の学習指導のあり方を反省したり,改めて考えさせられるよい機会を与えていただいた。

「学習のめあて表」

生徒にとっては,次時の学習のめあてがはっきりすると同時に,既習事項の復習にもなり,予習のし方に変化と深みが加わった。学年全体で予習を今まで以上に喜んでやる生徒が増えた。よりよいめあて表を作成し,授業への生かし方にも工夫を加えて,今後ぜひ続けてみたいと考えている。

「形成的評価問題と補説問題」

これまで本文の内容に関する英問を準備する場合,難易度まではつけるが,フィードバックさせる補説問題まで組み合わせることはなかった。この補説問題によって,理解出来た生徒が非常に多い。生徒の実態を考えてきめの細い準備をすることがいかに大切かということである。

「コース別学習課題」

基礎・標準・発展の三つのコースの問題の中から,教師側から与えるのではなく,生徒が自由に選択出来るようになっていたため,抵抗を感じることなく挑戦するコースを選んでいた。問題をやりながら,自分でわかるところと,わからない点がはっきりするので,喜んでとりくむ姿が目立った。机間指導の際,つまずきの原因を除く手助けのし方と,機を逃さずやる個別指導の大切さとむずかしさを強く思わせられた。また,コース別問題の作成の際,内容の質的にも,量的にも明確にコースが分かれるよう配慮しなければならないことを,生徒の感想文を通しても考えさせられた。

「自己評価票」

授業の中で反省の欄まで書かせることは,時間的に無理な場合もあったが,教師の返信による指導が,どんなに生徒の次の学習への意欲を起させるか,改めて認識した。

「アンサーポール」

評価問題,補説問題,コース別学習課題をやる時に,「わかった」「わからない」「コースを変えた」などを,赤・青・黄の三色のアンサーポールを使用して表したわけであるが,もっと慣れさせる訓練と同時に,どの色を出しても抵抗を感じないクラスの雰囲気づくりや,教師と生徒の信頼関係は欠かせないものであると思う。生徒の立てるポールの色を通して伝わってくる生徒の、「声」を不十分ながらも聞くことが出来,一喜一憂したものである。

生徒の実態をさまぎまな資料を通してよく把握し,一人一人のつまずきや原因がわかるような課題やテストを準備して,その場その場に応じた適切な助言を加えながら個別指導することが,個の確かな成立をめざす授業へとつながっていくことを,この研究を通して学ばせていただいた。私自身,あまりにも小さな器であるけれども,出来る限りの働きかけが出来るよう努力していくつもりである。そして,生徒達とともに学ぶ喜びを味わっていけるよう,さらに研修に励んでいきたいと思う。発想の転換を迫られ,個人差に応じた指導の方法などいろいろと考える貴重な時を与えていただいたことは,感謝でいっぱいである。心からお礼を申し上げたい。


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