研究紀要第53号 「学習意欲を高める心理的治療への理論的アプローチ 第1年次」 -013/042page

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ー等が考えられる。
教科や学習内容によって著しく学習意欲に差があるもの。
の3つを想定する。

[1] 学習意欲検査

学習意欲検査は,8因子40項目(各因子,5項目)より構成されている。質問紙への応答は,各項目に対して,「とてもよく当てはまる」,「どちらかといえば当てはまる」,「どちらかといえば当てはまらない」,「まったく当てはまらない」の4段階で評定され,学習意欲の高い方から,4,3,2,1点を与える。8因子のうち,6「失敗回傾向」,7「反持続性」,8「反(学習)価値観」は,学習にとって,マイナスの意味を持つものなので,その得点を逆転し,それぞれの傾向が弱い方を高得点となるようにしてある。各因子とも最高20点〜最低5点の間の得点になる。また記入された合計得点は,個別プロフィ−ルヘ,そのまま記入する。プロフィ−ルは,小学校4〜6年用と中学生用の2種類が用意されている。(表3,表4)

各因子の得点,P得点,N得点及びT得点は右に行く程高得点となる。段階点として5段階点を用いている。

1 ―― 低い
2 ―― やや低い
3 ―― ふつう
4 ―― やや高い
5 ―― 高い

また「失敗回避傾向」「反持続性」「反(学習)価値観」の得点は,逆転しているので,それぞれ,そのような傾向が「弱い」という程度を表わしている。

表3 個別プロフィ−ル(小学4,5,6年用)
段階点
因子名
1 2 3 4 5
1.自主的学習態度 5 6−9 10−13 14−17 18−20
2.達成志向の態度 5−8 9−11 12−15 16−18 19−20
3.責任感 5−9 10−13 14−16 17−19 20
4.従順性 5−9 10−12 13−14 15−17 18−20
5.自己評価 5−7 8−10 11−14 15−18 19−20
6.失敗回避傾向 5−8 9−12 13−16 17−19 20
7.反持続性 5−6 7−10 11−13 14−17 18−20
8.反(学習)価値観 5−8 9−11 12−15 16−18 19−20
P得点(1〜5) 25−48 49−60 61−73 74−85 86−100
N得点(6〜8) 15−28 29−36 37−43 44−51 52−60
T得点(1〜8) 40−80 81−98 99−115 116−133 134−160

表4 個別プロフィ−ル(中学生用)
段階点
因子名
1 2 3 4 5
1.自主的学習態度 5−6 7−9 10−12 13−16 17−20
2.達成志向の態度 5 6−9 10−14 15−19 20
3.責任感 5−8 9−11 12−14 15−17 18−20
4.従順性 5−9 10−11 12−14 15−16 17−20
5.自己評価 5−9 10−12 13−15 16−18 19−20
6.失敗回避傾向 5−8 9−11 12−14 15−17 18−20
7.反持続性 5−6 7−9 10−12 13−15 16−20
8.反(学習)価値観 5−8 9−12 13−15 16−18 19−20
P得点(1〜5) 25−46 47−58 59−69 70−80 81−100
N得点(6〜8) 15−27 28−34 35−41 42−48 49−60
T得点(1〜8) 40−78 79−94 95−109 110−125 126−160

[2] 学習意欲を評価するための観察法

本研究では,学級の全児童生徒を対象に学習意欲検査を実施し,学習意欲を構成する8因子の得点から学習意欲の強さと因子間の関係から一人一人のもつ特徴を把握し,学習意欲に問題をもつ子供をピックアップする。さらに実態や原因を調べるために,観察や面接が必要になる。

ここでは学習意欲検査に示された8因子について観察する場合の観点をあげる。

(ア) 「自主的学習態度」

この点をみるには,人に言われなくても,自分から進んで勉強にとりかかるか。勉強に気のりしないようなことはないか。机に向かった時,すぐに勉強にとりかかるか。宿題やテストがなくても勉強するか,人にみてもらわなくても勉強するか等について観察する。

(イ) 「達成志向の態度」

むずかしい問題に挑戦したり,できるだけ頑張ったり,目標達成に努力したりする態度である。例えば目標を達成しよう


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