研究紀要第53号 「学習意欲を高める心理的治療への理論的アプローチ 第1年次」 -016/042page

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し,拒否,支配,保護,服従,矛盾不一致の領域から両親の態度を判定する。親用と小学4年以上の子供用とがある。両親の態度および,子供の問題徴候についての両規の判断と子供の判断の一致,あるいは,ずれから親子関係について考察する。

・エゴグラム 適用両親

交流分析の中にある方法である。自分の性格上の問題点を自己分析によって気づき,他人との人間関係を,自分でうまくコントロールできるようにしていく方法である。チェックリストによって,父親的な自我状態,母親的な自我状態,大人の自我状態,自由な子供の自我状態,順応した子供の自我状態の五つの自我状態に分けて,表される。

・ソシオメトリック・テスト

集団における人間関係を調整し,すべての成員がより快適に自由に活動できるように援助するために行うテストである。"運動場で自由に遊ぶときに,誰と遊びたいか,誰と遊びたくないか。"のように,日常の生活場面に即して3〜5人を選択・排斥させる。その結果から,資料整理マトリックスやソシオグラムを作成する。

・ゲス・フー・テスト〈教研式〉

人物推定法とも呼ばれ,行動を記述した短文を示し,それにあてはまる人物をあげさせることによって,行動・性格を評価するテストである。指導要録に示されている行動および性格の11の評定項目に関しての人物の記述にあてはまる人物の名を3名ずつあげる。各項目ごとにA(すぐれている)B(劣)ている)として評定された回数の結果によって,判定される。

以上のほか,現在,一般的に多く用いられている検査は,表5のようなものがある。

心理検査は,大別すれば,知能,学力,性格,適性および環境についての検査があり,これらの諸検査を問題によって選択することにより,問題を多面的に診断できるのである。しかし,多面的な診断を求めるあまり,あれもこれもと,あまり多くのテストを用いると,結果の解釈に,時間と労力を費やすのに終わってしまい,総合的な診断ができなくなってしまう。だから,対象となる問題の性質に応じて,慎重に,最少限必要なテストを選択し,結果を求めて,能率的で実効のある診断を目指すことが必要である。

表5 心理検査一覧表
種類 内容
知能検査 個人式 ビネー式 精神年齢と生活年齢の比によって知能指数を算出する。
ウエックスラー式 言語知能指数,動作知能指数のほかに,フロフィールによって知能内容の診断ができる。
乳幼児検査 乳幼児の発達基準によって発達指数が算出できる。
動作式 言語が十分に使えない子供などに用具を用いて行う。
団体式 言語式(A式) 言葉を使用した検査で,比較的学習成績と相関が高い。
非言語式(B式) 主に図型を用いた検査で,比較的素質的な知能がみられる。
併用式(C式) A式とB式を併用して両方の指数が出せるようになったもの。
性格検査 質問紙法 はい・いいえで答えられるもので,向性,適応性,道徳性,性格などの諸検査がある。
評定法 評定尺度を用いてチェックするもの。
投影法 あいまいな多義的刺激を与えて,どう反応するかによって性格をみるもの。
作業検査法 精神作業検査を実施して,それによって性格をみるもの。
社会性 社会生活能力検査 基本的習慣,作業能力,意志交換能力などをみるもの。


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