研究紀要第53号 「学習意欲を高める心理的治療への理論的アプローチ 第1年次」 -022/042page
てのまとまりがない因子である。個人差が最もでているものと思われる。
○ 前述[7]と同じ分布図であり,わずかに女子が男子に比して優位を示している。個別指導によって高位への移行が望まれる。 P得点
N得点
T得点
図8 因子別及びP・N・T得点の段階ごとの割合
○ 学習意欲をP,N,T得点からみると男子よりも女子の方が高位を示している。特にP得点においてその差が薯しい。
女子は,1段階がなく段階があがるに従って多くなっているが,男子は1,2,3段階で80%以上を示しており,指導や援助の必要性を感じる。N得点においては男女ともほば同じ傾向を示している。3)知能と学習意欲との関係
表7 知能と学習意欲の関係
数字……男子
(数字)……女子
\ 知能 学習意欲 \ 低位群
(44以下)中位群
(45〜54)高位群
(55以上)計 低位群
(1,2)3
(1)5
(1)1
9
(2)中位群
(3)1
(1)
(2)
1
(3)高位群
(4,5)1
(2)3
(3)4
(5)8
(10)計 5
(4)8
(6)5
(5)33 表7は知能(教研式知能検査)と学習意欲の関係を考察するためにまとめたものである。表から知能と学習意欲について考察すると次の点が指摘できる。
ア. 知能が高位群にいて,学習意欲が高位群を示すものが多い。つまり男子で知能が高位であり,学習意欲で低位を示すものが1名いる。これは個別指導が必要と思われる。しかし,その他は男子で4名,女子で5名は学習意欲も高位を示している。
イ. 知能が低位のもの男子5名中学習意欲で低位のものは3名で,女子4名の中1名である。知能の中位をみると男子は学習意欲の低位が多いが,女子においては学習意欲が高位を示している。
これは,男女全体の学習意欲の強さの傾向と一致しているものと思われる。したがって,学級全体の学習意欲を高めていく指導の中で一人一人の学習意欲を高めることが大切であることを示している。4)個人ごとのプロフィール
小学5年生34名に実施した学習意欲検査の中で,特徴のあるプロフィールを示した児童4人について,考察を加えてみることにする。なお,知能偏