研究紀要第53号 「学習意欲を高める心理的治療への理論的アプローチ 第1年次」 -025/042page

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(2) 中学校の検査結果とその考察

[1]実施学年 中学校2年1組
[2]実施人数 男子23名,女子18名,計41名
[3]検査月日 昭和58年1月10日

学習意欲検査実施後,1)因子別得点平均及びP得点,N得点,T得点の得点平均と標準偏差,2)因子別及びP・N・T得点の段階点ごとの割合,3)知能と学習意欲の関係,4)個人ごとのプロフィールの4点から集計を行い考察を加えることにする。

1)因子別,及びP・N・T得点の得点平均と標準偏差

表8は8因子の男女別及び学級全体の得点平均と標準偏差並びにP・N・T得点の得点平均と標準偏差をまとめたものである。

表8 因子別及びP・N・T得点平均と標準偏差

男子(n=19) 女子(n=15) 学級全体(n=34)
平均・偏差値
因子名
M S.D M S.D M S.D
自主的学習態度 11.9 3.3 12.5 1.6 12.2 2.7
達成志向の態度 12.4 2.9 12.4 2.4 12.4 2.7
責任感 13.6 2.9 14.7 2.4 14.1 2.8
従順性 13.2 2.7 13.9 1.5 13.5 2.3
自己評価 14.0 3.3 15.1 2.4 14.5 3.0
失敗回避傾向 15.5 3.2 14.0 3.0 14.8 3.2
反持続性 10.8 3.6 10.9 2.6 10.9 3.2
反(学習)価値観 13.4 2.6 13.5 3.2 13.4 2.9
P得点 64.9 13.5 68.6 7.2 66.6 11.3
N得点 37.6 6.4 37.6 6.8 37.6 6.6
T得点 102.6 16.9 106.2 11.0 104.2 14.8

<考察>

ア. この学級は,男子に比して女子の方がP得点及びT得点が高く,しかも標準偏差が低いことから,学習意欲の強さとまとまりがあるものと考えられる。
このことは,表9知能と学習意欲の関係からも指摘できる。

イ. 因子別に問題をもつ生徒を(得点平均―標準偏差)以下の得点の者として男女別でみた場合,つぎのとおりである。
因子名 男子
M−SD値
人数 女子
M−SD値
人数
・自主的学習態度(学習にとりくむ態度) 8.6 4 10.9 1
・達成志向の態度(学習を追求する態度) 9.5 5 10.0 2
・責任感(学習を追求する態度) 10.7 4 12.3 4
・従順性(学習への心的傾向) 10.5 3 12.4 4
・自己評価(学習にとりくむ態度) 10.7 2 12.7 3
・失敗回避傾向(学習にとりくむ態度) 10.9 2 10.4 5
・反持続性(学習を追求する態度) 7.2 6 8.3 3
・反(学習)価値観(学習への目的意識) 10.8 1 10.3 4

この結果から,男子では特に,学習を追求する態度に問題をもつ生徒が多くみられ,学習への集中力や粘りを欠き,課題に対しても積極的に挑戦していこうとする意欲が欠如していることが指摘でき


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