研究紀要第53号 「学習意欲を高める心理的治療への理論的アプローチ 第1年次」 -027/042page
○ 得点平均で男女とも最も高い数値を示した因子であるが,自己評価に対する態度には特に差がみられるので観察で,ずれをおさえる。
○ 8因子の中で,特に2〜4の段階で男女にあまり差がみられないが,[4]同様に女子に個別的な指導が求められる。
○ 今回の調査項目のなかで最もばらつきが多く認められたものである。特に低位群に属する生徒の指導が望まれる。
○ [1]自主的学習態度とのかかわりでみた場合,特に女子には目的意識に支えられた学習態度といった面で問題が感じられる。 P得点
N得点
T得点
図9 因子別及びP・N・T得点の段階点ごとの割合
○ 積極的な面での学習意欲は男子に比して女子がより望ましいかたちであらわれている。男子はばらつきが多く,その上,学習意欲を負の方向に追いやる因子で構成されるN得点の2段階に属する生徒が多いことからも,指導や援助のあり方に難かしさを感ずる。
また,女子には,P得点とN得点のあらわれ方を関連的にとらえてみた場合,特に負の因子に問題をもつ生徒が多くあらわれており,この面での援助や指導を強化する必要がある。3)知能と学習意欲の関係
表9は,知能(教研式知能検査)と学習意欲の関係を考察するためにまとめたものである。
表9から知能と学習意欲について,この学級に限定して考察すると次の二点が指摘できる。