研究紀要第54号 「教育課程の実施に関する研究」 -038/071page
[ アルゴリズム ]
数列 { In } の和Snを求めるのであるから,流れ図は例2の場合と同様である。
Ik=4/n(1+4/n×k) 2 より,流れ図は図6のようになる。
ここで,図7のように,長方形の面積の和を,仮に内面積,外面積と呼ぶことにし,それぞれSn,Tnとし,求める面積をSとすると
Sn < S < Tn となる。
ところで,この場合には, { Sn } は単調増加, { Tn } は単調減少であり,n → ∞ のとき Tn−Sn → 0 であることを利用し,SをSnとTnとではさみつけることによってSの値を求める。
[ 計算の結果と考査 ]
表5は,区間(1,5)をn等分し,そのときの内面積と外面積の値をパソコンで求めたものである。
表からわかるように,区間(1,5)を5000等分したとき,Sn= 41.32 ・・・,Tn= 41.34 ・・・であるからS= 41.3 ・・・であることがわかる。
このように,積分を知らなくとも面積の近似値は求められるが,n= 5000 のときSn,Tnの値を求めるのに,計算の迅速なパソコンでも2分20秒かかった。
これを定積分で計算すると =124/3と10秒もあれば十分である。このことから,生徒は積分の計算のすばらしさに気付くだろうしひいては,先人の残してくれた文化のありがたさを認識させる好機だと思う。
区分求積法でn等分するとき,従前はnをそう大きくすることはできなかったが,パソコンの導入により,この例のように 5000 等分して計算できるようになった。
なお,このように面積をパソコンを使って求める場合,区分求積法は効率的でない。ここでは,積分についての理解をより印象づけ深めることをねらいとしており,ただ面積を求めるだけならば,台形公式・中点公式・シンプソンの公式などを利用することになろう。