研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -001/053page

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I 研究の趣旨

1 本研究の趣旨

 各学校においては,日常の教育活動に学校や教師の創意を生かし「自ら考え正しく判断できるカをもつ児童生徒の育成」を目指して実践研究に取り組まれている。特に教育活動の中核をなす授業については,質的転換を図るために校内研修などで努力されているところである。
 小・中学校の現職教育の研究主題(当教育センター所報61号,62号)をみると,各教科の学習指導を研究対象とし,個性や能カに応じた指導,自ら学びとる力の育成,学習意欲を高める指導,評価の機能などに着目し,授業の充実を目指した研究例が多数みうけられる。
 教科の授業を充実していくためには,そのほか種々の方策が挙げられようが,特に一斉指導の中では,個別指導の工夫や評価の機能を指導のために生かしていくことが必要になろう。とりわけ,指導と評価が一体となった評価観が重視され,評価を行うに当たっては,指導と密着しながら,すべての学習活動をとおして,教師と児童生徒がそれぞれの立場から一貫して行うことの必要性が強調されている。
 このような評価観に基づき,児童生徒一人一人の実態を的確に把握し,一人一人の個性や能カに応じた指導が行われるときにおのずと充実した授業が展開されるものと考えられる。そのような視点に立って,学習指導の充実について省みるとき,指導と評価の一体化は,授業充実のための当面する研究課題といえよう。
 当教育センターでは,これまでに,授業改善に役立てるための個別指導の在り方について,「学習指導の個別化に関する研究」を行ってきたが,ここでは,その研究成果をふまえ,児童生徒一人一人の学カを伸ばすために「学習指導と評価」の在り方について追究し,授業の充実に役立てようとするものである。


2 本研究の計画と方法

 この研究は,三か年計画で企画し,次のような研究推進計画及び研究方法に基づいて行う。

(1) 第1年次 (昭和58年度) 調査研究
                  研究紀要刊行

(2) 第2年次 (昭和59年度) 実践研究
                  研究紀要刊行

(3) 第3年次 (昭和60年度) 実践研究
                  研究紀要刊行


II 本年度(第1年次)の研究

1 研究の概要

 本年度は,教育評価に関する資料収集や文献等による理論研究などを主とした基礎的研究を行い,併せて,今後の研究の方向づけのため,県下の小・中・高等学校の教師を対象とし,「学習指導と評価」について実態調査を実施した。
 実態調査については,質問紙法によるアンケート方式を採用した。したがって,ここでは,実態調査の調査項目の作成とその集計処理ならびに分析と考察が,研究の主たる内容である。


2 研究の経過

(1) 調査項目設定の手順

 当教育センター所員を対象に予備調査を実施し,「学習指導と評価」に関する今日的課題を問い,この調査結果を集約して「研究プロジェクト企画推進委員会」において調査項目設定のために構築した「理論」に基づいて調査項目の素案を作成した。
 調査項目の素案は「学習指導と評価」を調査内容とし,更に,授業前の評価,授業中の評価,授業後の評価,学期末・学年末の評価の活用,情意面の評価,観点別学習状況(小・中学校教師対象),評定のしかたや習熟度別学習(高等学校教師対象)な


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