研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -002/053page

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どを調査領域とした。素案は,「企画推進委員会」「アンケート作成委員会」において検討が加えられた後,「プロジェクト委員会」において論議され,後述(P.3)のような調査項目を設定した。

(2) 調査項目設定のための理論

「学習指導と評価」に関する先行研究資料及び文献などによる基礎理論をふまえて,次のような理論づけをした。

1 評価の意義
 評価とは,教育課程に基づいて指導していく過程において,指導目標に照らして児童生徒の知識・理解・能力・技能・態度などが,どの程度の期待される結果があったかを把握することであり,また,その結果に基づいて,教育計画の検討や指導法の工夫改善を行い,今後の指導に生かし,教育効果を高めていくことである。

2 評価の目的
 評価の教育目的は,評価が主としてどんな教育決定のために利用されるかという観点から,指導目的,学習目的,管理目的,研究目的に分類されるが,本研究の調査項目設定には,主として,指導目的,学習目的に関する評価を取り上げる。

(1) 指導目的
 教師の立場から評価のフィードバック機能を利用するという目的である。具体的にいえば,このような目的からの評価には,次のような測定・評価が含まれる。

ア, 学年始めや学期始めなどにおいて行われる知能・学力・学習興味や習慣・性格などの主として標準化された検査・・・・・診断的評価

イ, 個々の教材や単元・題材の指導計画を選択・決定する際に,その教材の学習に成功するための必須の前提条件やレディネスとなるような既習の知識・理解・技能などを児童生徒が所有しているかどうかをチェックする。・・・・・診断的評価

ウ, 授業の進行中において,教師が指導した目標や内容について,児童生徒がマスターしたかどうかをチェックし,その結果により再指導することを目的とした評価・・・・・形成的評価

工, 単元・題材の終了時,学期の中間,学期末および学年末において,それぞれの期間における計画と指導の効果をチェックし,結果により補足したり,改善する目的のために利用されるような評価・・・・・総括的評価

(2) 学習目的
 学習者である児童生徒の立場から,児童生徒を評価の主体者としての評価目的で,具体的には,自己評価や相互評価の形で行わせ,その学習の成功・失敗を直接児童生徒本人にフィードバックし自己改善を行わせる。

3 評価の領域
 児童生徒の知識・理解・能カ・技能・態度などの評価のほか,教育計画や指導法を含む領域とする。

4 指導過程の評価
 指導過程の評価とは,狭義には,1時限の指導における評価をいい,広義には,単元あるいは題材の指導の過程を対象にし,更に,その前後の準備や反省なども含めて考える。
 この研究の場合,指導過程の評価を広義にとらえ,標準的な指導過程における評価の位置づけを,目標分析―診断的評価―指導計画の決定―授業―形成的評価―治療・深化指導―総括的評価―再指導のようにおさえる。
 なお,調査票の作成に当たっては,具体的な実践場面で問うことにする。


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