研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -022/053page
○単元・題材の終了時のぺーパーテストについて,中学校の教科別にみると,次のような結果になる
教科 選択肢
国語 社会 数学 理科 音楽 美術
保健 体育
技術 家庭
英語 ア 自作テスト 21% 32% 77% 54% 74% 66% 71% 64% イ 学年・教科部会などで作成したテスト 8 2 1 2 0 8 0 0 ウ 市販のテスト 60 64 17 42 13 26 25 33 エ その他 11 2 5 2 13 0 4 3 回答者数 73人 47人 66人 50人 23人 35人 28人 36人
中学校の全体的傾向と同様に「自作テスト」が「市販のテスト」を上回る教科は,国語と社会を除く7教科である。国語と社会は「自作テスト」の作問の際に時間を多く必要とするためか,「市販のテスト」を活用している割合が60%を越えている。
(6) 授業後の評価についてのまとめ
・[設問 12] から [設問 16] までは,授業後の評価について明らかにしようとしたものである。調査の結果を総合してみると,小・中・高等学校の校種問に差があることがわかる。小学校では,最も積極的に授業後の評価を行っている。その方法も,児童の発達段階や教科の内容を考慮し,学年ごとに特色ある評価用具を用いている。評価の結果,目標に達していないと判断された児童に再指導を行う割合も,小学校が最も多い。中学校では,評価を行う割合は小学校とほぼ同じであるが,再指導の段階になると,r特に,再指導は行わない」が多くなり,高等学校では,評価を行う割合が最も少ないだけでなく,評価を行ったとしてもr特に,再指導は行わない」場合も多くなっている。中学校高等学校の場合は,評価の方法も含めて教科間の差も大きい。
校種間,教科間に上記のような差が表れるのは,児童生徒の発達段階や教科の特質などに配慮しながら,授業後の評価が行われているからであろう。・[設問 12] と[設問 6] との関連を中学校についてみると,次のような結果になる。
6 授業中の評価 12 授業後の評価
ア いつも確かめている イ 確かめていることが多い ウ 確かめていることが少ない エ ほとんど確かめていない 合 計 ア いつも行っている 43人 130人 12人 1人 186人 イ 行っていることが多い 20 103 26 0 149 ウ 行っていることが少ない 0 15 8 0 23 エ ほとんど行っていない 0 0 2 0 2 合 計 63 248 48 1 360
授業後の評価について,中学校の実施状況を例として判断できることは,[設問 12]と[設問 1] との関連でも述べたように,評価を行うか否かは,指導計画を作成する段階で,評価を位置づけるか否かということに深くかかわっているということである。[設問 12] と[設問 6] との関連をみても,授業の中で「いつも確かめている」か「確かめていることが多い」場合には,授業後の評価も「いつも行っている」か「行っていることが多い」が296人と全体の82%を占めることを考え合わせると,評価をよく行うためには,まず,指導計画に評価を位置づけることが重要になるといえよう。