研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -024/053page
○校種別でも同様な傾向を示しているが,小学校・中学校の場合,「活用していることが少ない」,「ほとんど活用していない」合わせて32%は多いようにも思われる。指導の成果を絶えず評価し,指導の改善に努めることは,教育の効果を高めるための不可欠の要件であり,最適な学習指導法を作りだすための積極的な評価の活用が必要であろう。
(3) 教材・教具の改善の資料として――回答者教は(1)に同じ。
選択肢 小学校 中学校 高等学校 全 体 低学年 中学年 高学年 計 ア 活用している 13% 17% 15% 15% 16% 21% 17% イ 活用していることが多い 51 35 39 40 38 44 40 ウ 活用していることが少ない 34 38 41 39 39 31 37 エ ほとんど活用していない 2 10 5 6 7 4 6
○小・中・高等学校ともに,「活用していることが多い」が最も多く,全体で40%を占め,更に,「活用している」を加えると57%と半数を越えることになる。このことは,評価の結果,有効と判定されたものを積極的かつ計画的に活用していることを示していよう。ただ,中学校の場合,[設問 1] において,指導計画に評価を「具体的に位置づけている」と答えた80人のうち,評価後,教材・教具の改善の資料として「活用している」は18人で,まだ,計画的に教材・教具の評価まで意識されていないように思われる。
(4) 児童生徒の自己理解の資料として――回答者数は(1)に同じ。
選択肢 小学校 中学校 高等学校 全 体 低学年 中学年 高学年 計 ア 活用している 36% 31% 32% 32% 29% 30% 30% イ 活用していることが多い 48 45 47 46 46 43 45 ウ 活用していることが少ない 15 20 19 19 21 22 21 エ ほとんど活用していない 1 4 2 3 4 45 4
○小・中・高等学校ともに,「活用している」に「活用していることが多い」を加えると73%〜78%になり,おおむね「活用している」ことになる。児童生徒の実態に応じた個別指導を進め,意欲的な学習を行わせるためには,教師からの情報の提供と,適切な援助が必要であり,その点では望ましい傾向といえよう。
○[設問 17] の調査から,総括的評価の結果により,教材や指導方法などの有効性を反省し,今後の改善に供するという指導目的としての評価の理解不足が指摘される。