研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -026/053page
○また,[設問 18] と[設問 1―(1)] との関連を中学校についてみると,次のような結果になる。
1-(1) 指導計画への評価の位置づけ 18 関心・態度の評価
ア 具体的に位置づけている イ 具体的ではないが位置づけている ウ 位置づけていない 合 計 ア いつも行っている 18人 26人 1人 45人 イ 行っていることが多い 43 103 9 155 ウ 行っていることが少ない 17 83 26 129 エ ほとんど行っていない 2 23 6 31 合 計 80 238 42 360
教科の単元や題材の指導計画の中に,評価の観点や方法を「具体的に位置づけている」80人の中で,情意面の評価を「いつも行っている」「行っていることが多い」を合わせて60人を数え,これらは,すでに,指導計画の段階から,情意面の評価を考慮していることを示していよう。しかし,指導計画の中に,具体的に評価の観点や方法を位置づけていても.情意面の評価を「行っていることが少ない」「ほとんど行っていない」教師も19人見受けられ,更にこの数は,指導計画の中に評価を位置づけていないほどに順次高くなっている。
(2) 情意面(関心・態度など)の評価の計画性
[設問 19] あなたは,教科に対する「関心・態度」などの情意面の評価について,授業の中で,計画的に行っていますか。 ○調査の結果――回答者数には,[設問 18] で工と答えた人数は含まれていない。
選 択 肢 小学校 中学校 高等学校 全 体 ア 計画的に行っている 9% 7% 8% 8% イ 計画的ではないが必要に応じて行っている。 91 93 92 92 回 答 者 数 318人 329人 233人 880人
○情意面の評価は,全体の92%が,「計画的でないが必要に応じて」その都度行っており,「計画的に行っている」は,小・中・高等学校ともほぼ同じ割合を示し,全体でわずか8%である。
○[設問 7] で,授業中の評価を「計画的に行っている」と回答した小・中・高等学校の135人の中で,情意面の評価を「計画的に行っている」と回答したのは,77人と約2分の1に減少している。小・中・高等学校ともに同じように減少傾向であり,割合としては,中学校が3分の1に減少している。このことは,情意面の評価が,学習者の感情の動きを対象としている部分が多いために,評価目標や評価基準を設定することが難しく,主として知識・理解・技能の評価よりも,計画のたてにくいことを示していよう。