研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -030/053page

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○教科別にみると,「国語」「社会」「数学」については,「学期末テスト結果の累積」と「単元末テスト結果の累計」と「平常の観察」の三つの資料が多く使われている。例示しなかったが英語も同様である。

教科別結果


○理科,保健体育,技術・家庭など,実験や実習あるいは実技を伴う教科は,「テスト結果の累積」よりも「平常の観察」の資料を重視していることがわかる。音楽も同様のことが言える。技術・家庭や美術は,「平常の観察」よりも「作品」を重視していると言えよう。


(4) 「観点別学習状況」の評価についてのまとめ

1.達成目標について
 達成目標の設定は,小学校においては「学校全体で話し合っている」と「学年会で協議して決めている」を併せると58%を占めているが,一方,「学級担任にまかせられている」は38%を占めている。中学校では,「学校全体で話し合って決めている」と「教科部会で協議し決めている」を併せると,57%であるが,「教科担任にまかせられている」は41%を占めている。達成目標の設定にあたっては,過半数の小・中学校では,「話し合い」によって決めており望ましい姿であるが,「学級担任」や「教科担任」にまかせられ,それぞれ担任が単独で設定しているところもあるようだ。達成目標の設定にあたっては,学習指導要領の各教科の目標を分析し,具体化して,学校全体あるいは,学年会や教科部会などで,十分に協議して決め,共通理解を図っていくことが望ましいと思われる。

2.「十・一」の達成基準について
 達成基準については,小学校では,「学校全体で話し合って決めている」が44%,「学年会で協議して決めている」が23%である。大半は,学校全体または,学年会などで話し合い,共通理解の上に立って設定しており望ましい傾向であると思われる。
 だが,「学級担任にまかせられている」は33%あり,中学校では,「教科担任にまかせられている」が38%を占めている。達成基準の設定を,それぞれ担任が設定しているところもあるようである。達成基準は,目標達成の度合いについて判断するための学年別の評価基準を具体的に設定し,共通理解を深めて評価することが望ましいと思われる。

3.評価の資料について
 調査結果をみると,小・中学校ともに「テスト結果の累積」と「平常の観察」を主な資料として評価し,記入しているようである。「観点別学習状況」の評価を,より信頼性.妥当性の高いものにしていくためには,どのような資料に基づいて記入するのが望ましいのか,今後,研究を深めていかなければならない点であろう。


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