研究紀要第56号 「学習指導と評価に関する研究 第1年次・実態調査」 -034/053page
7 指導と評価についての悩みや意見
[設問 27] 指導と評価について,悩みや意見がありましたら具体的に書いてください。 「指導と評価」について,上のような設問によって自由な意見を求めたところ,多くの回答を得ることができた。その中から,回答者の多くが関心を寄せており,しかも「指導と評価」の今日的課題と考えられるものをいくつか取り上げ,分類整理して次に紹介する。
なお,回答文の末尾の( )は,回答者の所属校種別及び担当教科(小学校の場合は研究教科)である。例えば,「小学校・中学年・国語科」は(小中国)のように表記した。(1) 評価の基準について
・評価基準をどこにおいたらよいかわからない。 (高理)
・評価基準があいまいである。 (中英)
・評価基準が明確になっていない。 (中数)
・観点別学習状況の基準をどのようにするか。
また,その基準でよいかどうか不安である。 (小低国)
・自分で評価基準を作成して評価しているが自信がない (小中社)小・中・高等学校とも「評価基準があいまいだ」「評価基準がよくわからない」などという悩みをうったえる教師が多かった。
・評価基準がわからない。そのため主観的になりやすい。(小中理)
・評価の場と方法については,工夫を加え改善しているが,生徒の実態,教材の内容,難易度などによる評定尺度が,また,個人により考えがいろいろあり,その都度意見がわかれ主観的になりやすい。(中理)
・単学級なので指導の計画をたてるにも評価基準をつくるにも独断的・主観的傾向があらわれ,常に不安がつきまとい指導に自信がもてない。(小中算)
・評価基準について個々の教師の考えが異なっているので主観的になりやすい。(小低理)
・学年(教科)全体での統一的な評価基準が設定されておらず,教科担任によって評価がまちまちになることがある。(高社)すなわち「評価基準」が明確でないため,とかく,評価が主観的になったり,ひとりよがりになったりするのではないかという不安を抱いているようだ。
・実技を伴う教科における評価の観点が明確でない。発達段階に応じてといっても,なおすっきりしないところがある。(小低理)
・図工科の描画においては,指導もさることながら,評価の基準がどうあればよいかわからない。(小中図)
・作品の評価は,どうしても指導者の主観が入ってしまうので,言葉で補ったりするが,教師のカ量と識見,人柄からにじみ出るものが問われる感じで,教師自らが高まる必要がある。(高美)
・音楽は実技の評価が中心となるが,評価の観点が実にあいまいになるような気がする。
例えば,"どならないで,きれいな声で歌う"という目標が設定されている場合"きれいな声"のとらえ方は,指導者によってさまざまであり,はっきりした答えはない。そうした場会,指導者の好みにゆだねられてしまい好みに合わない声は,評価が悪くなるというような結果にもなりかねない。そこで,評価基準のようなものがほしいと思う。(小低音)
・調理実習中の実技評価をチェックリストなどによって評価しているが,より正確に評価をするにはどのようにしたらよいか。(中家)
・作文の評価で評価基準があいまいになってしまうことが多い。(中国)
・作文の評価は,主観にたよることが多く,