研究紀要第57号 「学習意欲を高める心理的治療の実践研究 第2年次」 -006/044page
学校にある資料などを活用し,個人を多面的,総合的に診断するように努める。
テスト・バッテリー編成のために使用された心理テストの主なものについて以下に述べる。
(ア)児童生徒を対象にして
○性格検査(エゴグラム,YGなど)
YGは12の下位尺度で構成され,前半6尺度で情緒安定性を,後半6尺度で向性を示し,下位尺度の得点によるプロフィールで性格類型を判断する。
エゴグラムチェックリストにより自分の自我状態に気づき,他人との人間関係を自分でうまくコントロールできるようにしていくことができる。○問題性を予測する検査(DATなど)
問題傾向の早期発見・診断を目的とする。潜在的問題の傾向を明らかにし,それらの危険性の度合いを判定する。○不安傾向を診断する検査(GATなど)
8つの項目について不安感情の向けられる対象や不安によって生じる行動から不安を測定する。○神経症的傾向の検査(CMI健康調査表など)
身体的自覚,精神的自覚を基にして神経症的傾向を判別する。○学習意欲の検査(学習意欲検査など)
学習に対する意欲の強さを自己評価して,8因子のどこに問題を感じているかをとらえる。○知能・学力検査
偏差値,知能指数などからその個人の学力面での問題点をとらえる。
(進路問題を含めて)○身体面の諸検査
学校で実施した健康診断の記録や身体の記録などから個人の身体面の問題をとらえる。○交友関係などに関する検査(ソシオメトリック,ゲスフーテストなど)
ソシオメトリックは集団における人間関係を調整し,すべての成員がより快適に自由に活動できるように援助するために行う。
ゲスフーテストは人物推定法とも呼ばれ,行動を記述した短文を示し,それにあてはまる人物をあげさせることによって行動・性格を評価する。(イ)親を対象にして
○親子関係診断検査(TK式)
子供用・親用がある。子供の個性や行動を理解するために家庭における人間関係を科学的・客観的に診断する。○エゴグラムチェックリスト
「児童生徒を対象にして。を参照