研究紀要第57号 「学習意欲を高める心理的治療の実践研究 第2年次」 -008/044page

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ア 学習意欲を高める動機づけの方法について
(ア)興味を育てる
 児童生徒の興味を高めるためには,・快の経験をさせる,・知識を与える,・技能を伸ばす,・能力に応ずるなどが考えられる。

(イ)知的好奇心を育てる
 知識や理解など知的なことについて,変わったこと,珍しいことを見たり聞いたりしたがる気持ちをひきおこすことである。

(ウ)目的・目標をきめさせる
 学習の目的・目標を明らかにすることは学習の心構えを強化し,学習態度の自己評価や反省に役立ち,より学習への取り組みが促進される。

(工)成功感に訴える
 成功感は自我の欲求を満足させ,ますますやる気を出させる効果を持つ。従って励ましや,賞賛は児童生徒の満足感,成功感を高めることになる。

(オ)達成動機に訴える
 達成しようという願望を持つように指導するには,・動機を発展させることが現実的であり,合理的であることを理解させる,・動機を行為と日常生活の出来事とに結びつけさせる,・新しい動機に関係した具体的目標を達成するように専念させるなど,自分の力をためしてみるような課題を与えることである。

(カ)不安動機を生かす
 学習意欲を高めるには適度の不安を与えることである。人間の内部の欲求の葛藤から現れる不安は動機として働く。不安を避けるためにいろいろの反応をおこなうためである。

(キ)学習結果を生かす
 フィードバックの効果は二通り考えられる。人から知らされる場合と自分で結果を知る場合であり,後者が意欲を向上させるのに大・きな役割を果たすといわれている。

(ク)賞罰を与える
 賞罰の効果は児童生徒によって異なる。児童生徒の性格や年齢・性別・能力を考え,与える賞罰の報酬を工夫することが大切である。

(ケ)競争させる
 他の人と競争することは,学習意欲を高めるのに効果があることは証明されているが,他の人との競争ではなく,自分の前回の記録と競争するようにしたほうが意欲を向上するのに効果がある。


イ 心理療法との関連についての見方の例
(ア)自主的学習態度を育てるためには,自発性,自主性,自覚を高め,自律させることが必要である。

(イ)自主的学習態度を高める動機づけの方法として,効果が考えられるのは,・興味を育てる,・知的好奇心を育てる,・目的・目標をきめさせることである。

(ウ)学習意欲を高める上記三つの動機づけを行うためには,代表的な心理療法の中で,カウンセリング,読書療法,ロール・プレイングが効果的である。

 以上「自主的学習態度。についての見方を述べたが「達成志向。以下の因子についても同様な見方をする。

3.治療カルテの作成
 各種資料をもとに治療カルテを作成し実践する。

ア 治療カルテ(仮称)

1.学習意欲検査からみた児童生徒像
(1) 研究対象となった理由
(2) 意欲検査の個人プロフィール全体の解釈
(3) 特徴ある因子についての診断及び解釈(自己評価と他者評価から)

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