研究紀要第57号 「学習意欲を高める心理的治療の実践研究 第2年次」 -039/044page
○読書療法により
・学習の意味や価値の認識を深め,学習への関心を高めたこと。
・読書をとおして自分の生き方や将来の進路を考えさせたこと。(イ) 因子別に問題をもつ生徒(「M―SD」以下の得点の生徒)数
因 子 名 男子 値
M―SD
人 数 女子 値
M―SD
人 数 昭57 昭58 昭57 昭58 昭57 昭58 昭57 昭58 ○自主的学習態度
(学習にとりくむ態度)8.2 7.9 4 3 10.9 10.3 1 3 ○達成志向の態度
(学習を追及する態度)9.1 9.7 5 2 10.0 10.6 2 4 ○責任感
(学習を追及する態度)10.5 9.7 4 1 12.3 11.0 4 4 ○従順性
(学習への心的傾向)10.2 9.3 3 3 12.4 10.5 4 3 ○自己評価
(学習にとりくむ態度)9.7 12.4 1 4 12.7 12.3 3 3 ○失敗回避傾向
(学習にとりくむ態度)11.0 11.8 5 3 10.4 10.5 5 1 ○反持続性
(学習を追及する態度)6.9 7.7 3 3 8.3 8.0 3 4 ○反(学習)価値観
(学習への目的意識)10.8 10.9 2 4 10.3 12.2 4 2
<考察>
(M―SD)以下の得点の生徒が5人以上の因子を,この学級の「問題のある因子」とみた場合,研究第1年次は男子では「達成志向の態度」「失敗回避傾向」が,女子では「失敗回避傾向。がそれぞれ問題のある因子としてあげられた。研究実践後の第2年次には因子「達成志向の態度」に問題をもつ男子は5人から2人へ,因子「失敗回避傾向」に問題をもつ男子は5人から3人へ,女子では5人から1人へと減少している。このことは,この学級の生徒に,目的達成への努力の態度,学習の持続性が育ってきた表れであると考えられる。
これらの変容は学習意欲を高める心理的治療(カウンセリング的アプローチ,行動療法的アプローチ,読書療法など)を重視して,学級担任が日常の指導に当たった成果であると考えられる。(ウ) P得点,N得点,T得点の段階ごとの割合
<考察>
積極的な面での学習意欲は研究1年次に比して2段階以下が35%で変わらない。女子も3段階以上が83%で大きな変容はみられない。1年次同様2年次も学習意欲は女子優位の形である。
N得点でみると,男子は2段階が減少し,3,5段階が増加している。女子は3段階を中心にしてまとまりのある状態を示している。