研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -003/049page

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3 研究のための理論

 「関心・態度」は,児童生徒の内面にかかわるものだけに,その評価には,評価者の主観が入り易いなど難しい面がある。しかし,評価しにくいとの理由で,教育上重視されている目標がどの程度達成されているのかを確かめないで,学習活動を進めていくわけにはいかない。「関心・態度」の評価をする際,いかなる手立てを講じ,どのような点に配慮していけば,より妥当性,信頼性のある評価が可能になるのか。このことについて,以下五つの項をおこし論ずることにする。

 なお,「関心・態度」の評価については,多くの先生方が日々の学習活動の実践を通して研究しているところであるが,本研究は実践の一助となることを願って取り組むものである。

 (1) 評価に関する基本的な考え

  「関心・態度」の評価について述べる前に,本研究における学習指導の評価に関する基本的な考え方を述べてみたい。

1 指導と評価の一体化

 指導は,児童生徒を指導(学習)目標へ達成させるための一連の過程である。この過程の節々において,目標へいかに近づいているかを確認するために評価を行う。従って,何を評価すするのかを明確にした評価目標は,児童生徒の学習目標である達成目標と同質のものであることになる。

 また,学習指導の評価においては,一定期間の学習の結果を評定しそれで終わりとする評価よりも,評価の結果を児童生徒の次の学習に生かす,いわば,評価から新しい学習が始まるような評価を重視したい。評価の結果,まだ未達成とわかった場合には,その原因をさぐり補充指導をしたり,指導の軌道を修正するなど,次の学習活動に生かしていかなければならない。本研究では,指導と評価の一体化を大きな目標にかかげ,「関心・態度」の評価の在り方を追究しようとするものである。

2 評価を指導に生かすための学習活動の手続き

 指導と評価の一体化を目指す学習活動を実施するためには,次のような手続きが必要となる。

 (l) 主要な目標を体系的な形で明確にしておくこと

   教科の学年,各単元・題材,単位時間の各レベルでの目標を有機的に関連づけて明らかにし,児童生徒が達成すべき目標を明確にする。

 (2) 指導計画を作成すること

   児童生徒が達成目標を段階ごとに達成できるように,具体的な手立てとその実施の手順とが位置づけられた指導計画を作成する。

 (3) 評価計画を作成すること

   各段階ごとに具体的な評価目標と評価基準とを明確に位置づけ,どのような目標の達成を,いつ,どのような方法で評価するのか,また,評価の結果によっては,どのような補充指導を行い,どのように指導の軌道修正をしていくのかを位置づけた評価計画を作成する。

 (4) 評価を実施し,それを活用すること

   授業過程において,(3)で位置づけた評価を実施することにより,評価目標に対して,児童生徒はどのような学習状況にあり達成状況はどうであるかを把握し,次の指導にその結果を生かしていく。その生かし方は,学習活動の軌道修正や方向づけであり,また未達成の児童生徒に対する補充指導である。

 本研究では,「関心・態度」の評価の在り方を研究するという立場から,上記の(1),(3),(4)について,そのあるべき一つの方向を見い出すべく多角的に検討を加え,授業の実践を通して適切な評価の方法を追究するため,研究を2年問にわたり推進する。なお,(4)については,本年は授業過程における形成的評価を主に取りあげ研究することにした。


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