研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -004/049page

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(2) 「関心・態度」に関する評価目標の設定

 「関心・態度」の評価目標を設定するに当たって,明らかにしておくべきこと,留意すべきことを,以下述べることにする。

 1 「関心・態度」の解釈をどうするか

 「関心・態度」には,その教科のねらいや本質にかかわる側面と,どの教科の学習活動においても共通したものとして考えられる学習態度的な側面とがある。やゝもすると,この二つの側面を混同し評価してしまう場合がある。例えば,授業過程において,児童生徒にある作業を課しこの作業を手段として,教科のねらいにかかわる「関心・態度」の高まりを図ろうとする際,児童生徒にみられたその高まりは,作業そのものに対する関心の高まりなのか,あるいはねらいに対する高まりなのか,それを区別するのが難しい場合がある。

 目標によっては,この二つの側面のどちらに該当するのか明確にしにくい場合もあるが,本研究では,これをできるだけ区別し,主として教科のねらいや本質にかかわる側面を「関心・態度」として研究の対象にしていきたい。このことが,作業そのものに対する高まりなのか,教科のねらいにかかわる高まりなのかを明らかに区別して評価することになるし,ひいては,指導要録の観点「関心・態度」のねらいに近づいていく道だと考えるからである。

 2 「関心・態度」と認知的な側面.技能的な側面とのかがわり

 学力には,認知的,技能的,情意的な三つの側面があり,情意的な側面の「関心・態度」は認知的な側面と技能的な側面に裏打ちされた能力と考えられる。

 また,「関心・態度」は,新しい学習への意欲をかきたてる原動力であり,認知的な側面,技能的な側面を高めていくとも考えられる。いわば,「関心・態度」と認知的な側面,技能的な側面とは,学力を形成していくうえでの車の両輪の関係にあるといえよう。つまり,認知的な側面,技能的な側面の発展としての「関心・態度」と,認知的な側面,技能的な側面を高める原動力としての「関心・態度」があり,「関心・態度」と認知的な側面,技能的な側面とが調和して作用し,その相互作用が繰り返し行われるなかで,学習が成立し学力が形成されていくと考える。この関係を単元・題材の目標について表したのが図1の模式図である。

図 1
図 1

3 「関心・態度」の目標分析 ー評価目標の設定ー

 学習活動において,指導と評価が有機的に機能するためには,まず,教科の単元・題材について目標と教材の分析を十分に行い,より具体的な目標を設定する必要がある。そして単位時問レベルでの目標は,この単元・題材の目標とのかかわりで教材に即して設定される。このようにして設定された目標は,学習活動を通して達成を目指す目標であると同時に,それが達成されたかどうかを確かめるための評価目標でもある。この評価目標に対して評価を実施し,児童生徒の達成状況を明らかにして,その結果を指導に生かしていくのである。

 さて, 2で述べ図1で示したように,ある学


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