研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -007/049page

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察記録して,その背景にある内面的なものを読み取り評価しようとする方法である。具体的には,評定法(評定尺度法,チエックリスト法)や逸話記録法などが有効である。

2  自己評価法 ー児童生徒が「関心・態度」の達成目標に対して,自らを内省し診断評価して報告する方法であり,質問紙法が有効である。

3  相互評価法 ー級友の「関心・態度」について,児童生徒が相互に評価し合う方法でありゲス・フー・テストが有効である。

表1
評 価 方 法 利 用 上 の 留 意 点
観察法 評定尺度法  あらかじめ予想される行動特性を3〜5段階に品等し評定尺度を決めておき,児童生徒の行動観察により,これをいずれかの段階かに振り分け評定する。 ・評定しようとする行動特性をよく分析し,児童生徒の発達段階を考慮した行動水準で具体的に表す。
・評価基準の各段階の程度及びその具体的内容を十分理解しておく。
・観察者の主観性を排除するか最小限に抑えるように努めること。特に下記のような誤謬に陥らないように注意する。
 ○ハロー・イフェクト(Halo Effect)による誤謬
 ○寛大性又は厳格性による誤謬
 ○中心化傾向による誤謬
・児童生徒は観察されていることを意識すると,よく見せようとしてしまう。できるだけ自然の状態に保って観察記録する。
チエックリスト法  観察項目を一定の評価カテゴリーのリストに表示しておき,そのカテゴリーに該当する行動が児童生徒に見られた時,二方向の基準でチェックし評価する。
逸話記録法(行動描写法)  教師が児童生徒に日常接している中で,ある行動特性を評価するのに有意義と思われる行動が見られた時その行動をありのままに簡潔に記録し評価に役立てる。 ・この方法は,客観的であることが基本であるから,観察者の解釈を加える時は,事実とは明確に区別して書く。妥当性を高めるため数多く記録する。
・児童生徒の内面から見て重要な意味を持つことは,表面的に小さいことでも記録する。
・その行動の背景としての社会的場面も記録する。
自己評価法 質問紙法  観察者が前もって作成した質問事項について,児童生徒自身が自らを内省し回答する方法である。そこから得られる資料はすべて児童生徒からの直接提供であることが特色である。認知的,技能的な側面だけでなく情意面の評価にも有効である。
・応答の仕方からは,次の二種がある。自由記述式(作文,イラスト,吹き出しなど)、制限応答式(多肢選択法,評定法など)
・質問事項に児童生徒が正直に応答することが基本であるから,虚偽の応答がなされないように,実施する趣旨を理解させるとともに教師と児童生徒とのラポートを確立しておく。
・質問内容は,児童生徒が正しく理解できるように具体的に表現し,簡単に記入できるように設問する。・自由記述式の場合は,文章表現力が乏しいために十分な評価が得られない児童生徒への配慮をする。
・文章表現は,児童生徒の知識・理解カ,生活歴や環境,性別などの違いにより,かなり多様であることを考慮して評価する。
相互評価法 ゲス・フー・テスト  児童生徒が,日常生活を共にしていて級友の考え方や行動,性格をよく知っていることを利用して,互いに評価させて学級全体の所見を総合して,児童生徒個人の情意の特性を評価する。 ・学級の児童生徒の人間関係が望ましい状態であること。
・テストの趣旨を十分理解させるとともに設問を分かりやすく具体的に記述する。

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