研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -013/049page
かわり合うからである。
以上のことから,社会科の授業に対する「関心・態度」の評価とは,その授業における指導内容,方法,形態に対する「関心・態度」を評価することであると考えられるのである。
ア 先行研究における,授業に対する「関心・態度」の評価
社会科の授業に対する「関心・態度」を視点を変えて表せば,学習内容,方法,形態に対する「関心・態度」(いわゆる学習態度)の評価ということになる。
この評価を,どのように行うことが望ましいのかということを考察するために,まず,先行研究における評価の方法を分析した。その結果次に示すような評価項目に従って,評価を行う場合が多いと判断した。
・意欲をもって学習に取り組んだか
・授業に興味をもって参加したか
・友だちの意見や教師の話を熱心に聞いているか
・自分の考えを進んで発表しているか
・作業に熱心に取り組んでいるか
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・あなたは,今日の学習にどれくらい熱中しましたか
・作業はよくできましたか
・ノートはうまく整理できましたかこの評価項目を見てもわかるように,授業に対する「関心・態度」を,授業全体あるいは授業中の「関心・態度」に分け,教師の「観察」や,児童生徒の「自己評価」などによって評価しようとしている。
イ 本研究における,授業に対する「関心・態度」の評価
すでに述べたように,この評価は,社会科の授業における指導内容,方法,形態に対する「関心・態度」の評価であるといえる。
だから,この評価を行う場合には,授業における指導内容,指導方法,学習形態のそれぞれに対応した評価項目を設定して評価することが必要になると考えるのである。
「授業に興味をもって参加しているか」などの評価項目を設けて,授業全体に対する「関心・態度」を評価することは大切なことではある。しかし,この「関心・態度」の評価を行うことの目的の一つは,指導内容や方法等を改善することにあるのだから,この評価は,授業における指導の内容や方法等に対応して行うことが,より大切であると考えるからである。
そこで,本研究においては,一単位時間の授業に対する「関心・態度」を評価する場合でも,次のような授業の節目に対応した評価項目を設定して評価するなどして,評価結果を,より具体的に分析できるようにした。
・ よそうをたてたところ
・ ………をしたところ
・ ………について話し合いをしたところところで,本研究の主な目的は,10ぺ一ジの「研究のねらい」で述べたように,社会科の授業に対する「関心・態度」の評価の在り方を明らかにすることではなく,「社会的事象に対する関心・態度」の評価の在り方を明らかにすることにあるので,上述した,授業に対する「関心・態度」の評価については,以後,あくまでも付随的にとりあげることとした。
さて,以上で述べてきた社会科における「関心・態度」の評価についての理論を,小学校第5学年「社会」の小単元「新しい工業地域」の授業を通して検証した。
この検証授業のための指導計画(評価計画)の立案から授業実施後の分析・考察までを,以後の項で述べることとする。
なお,論を進めるにあたって,「社会的事象に対する関心・態度」を,特に必要な場合を除き「関心・態度」と略記する。