研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -029/049page
8 授業の結果と考察
すでに述べているように,「社会的事象に対する関心・態度」は,認知的な側面と密接にかかわりながら,低いレベルの「関心・態度」から,より高いレベルの「関心・態度」へと,階層的に,しかも連続して高まっていくと考える。
従って,「関心・態度」の評価にあたっては,学習過程における子ども一人一人の「関心・態度」をどう評定するかということではなく,子ども一人一人の「関心・態度」が,どのような階層にあり,どう連続し,どう高まっているかということに視点がおかれなければならない。
ここでは,はじめに,「社会的事象に対する関心・態度」が,実際の授業ではどのように評価され,認知的な側面とどうかかわっていたかについて述べ,次に,実践された評価方法について,その意図と評価結果を考察し,最後に,実際の授業に見られた「関心・態度」の評価に関する問題について述べる。
(1) 目標分析と「関心・態度」の評価
「検証授業2,3」で実践された事例をもとに,評価結果から,「関心・態度」の評価のあり方について考察するが,ここにおける「社会的事象に対する関心・態度」の達成目標は,表2 (P15)によっている。なお,「検証授業3」に直接かかわる下位目標とその評価方法については,表5(P22)に示すとおりである。
単位時間に4回の評価場面は明らかに多すぎると思われるが,この授業では,特に,「関心・態度」の形成過程に評価の視点をおいているので,下位目標のそれぞれについて評価を試みたのである。以下に示す下位目標の評価結果は,究極的には,子ども一人一人の「関心・態度」をどうとらえ,それをどう指導に生かすかという観点から処理すべきであるが,ここでは,「関心・態度」の全体的な傾向を把握すべく,以下のように表現した。なお,グラフ( )内の数字は,児童数である。
1 「検証授業3」における下位目標1.2,3.4の評価結果と考察
ア 「水が使われていることに注意が向いているか」を評価する
・ 下位目標1の評価結果
・ 考察
VTR視聴後,「水」に関心を示したのは,男子が1名,女子が10名で,女子についてはその67%が「水」に注目している。VTRは「製鉄所では大量の水が使われている」という観点から市販のテープを部分利用したものである。