研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -030/049page

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従って,子どもたちの関心は,当然,「水」に向けられるであろうと予測していたのであるが,特に,男子のほとんどが「水」以外の映像や内容に注目し,学級全体でも,33%しか「水」への関心を弓1き出すことができなかった。

 「製鉄所で水が使われていることに注意が向いているか」どうかは,その後に続くはずの下位目標2,3,4の重要な基盤となるものなので,指導者は,これを挙手によって確かめるとともに,「水」に関心を示すよう,「製鉄には大量の水が必要であること」を補説し,「水がどれくらい使われているか」という問題意識を持たせるように導いていった。

 以上のことから,次のことが言える。

・子どもの関心の方向は,実にさまざまで予測することが難しいこと。
・「関心・態度」の目標の下位にあるものほど的確に引き出すことが大事であり,評価結果からフィードバックの必要を認めた時は,すみやかにそれをすること。

イ 「水の必要量を知りたいと思っているか」を評価する。

・ 下位目標2の評価結果

図6 下位目標2の評価結果
図6 下位目標2の評価結果

・ 考察

 この観察による評価は,子どもたちが予想をノートしているときに,指導者が「予想を持てない子ども」について,机間巡視しながら,座席表にチェックし,その後,予想の発表の前に挙手によって再度チェックするという方法で実施された。この評価場面では,5sの鉄のバーベルを実際に子どもたちに持たせたため,授業に対する「関心・態度」が高まり,子どもたちから多くのつぶやきが聞かれた。「予想をたて挙手すること」が,「製鉄所における水の必要量を知りたいと思っていること」の判断資料として十分であるかどうかが問題ではあるが,この評価は,予想をたてることができなかった4名への助言を可能にし,また,「5sのバーベルを作るのに必要とする水の量」について,ほとんどの子どもに問題意識を持たせることができたという点で意味があった。


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