研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -031/049page

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 以上のようなことから,右のような「関心・態度」の評価にかかわる留意点が確認できる。

・評価法が評価目標に合致するものかどうかの吟味を十分にすること。
・授業に対する「関心・態度」が,そのまま「社会的事象に対する関心・態度」ではないので,それらを区別して考えること。

ウ 「水の必要量を身近なものと比較するために,進んで作業にとりくんでいるか」を評価する

・ 下位目標3の評価結果

図7 下位目標3の評価結果
図7 下位目標3の評価結果

・ 考察

 ここでは,子どもたちがグループごとに作業しているときに,机間巡視を行い,「形式的に参加しているにすぎない」子どもを座席表にチェックした。男子5名,女子6名を「作業の目的が,よく分からず活動に参加している」と判断し,チェックしている。下位目標の2の考察でも述べたように,ここでも「進んで作業にとりくんでいるかどうか」を,ここに示したような基準で観察することが最適なのかどうかが問題として残る。ただ,机間巡視の問に,それらの子どもに対して,「作業の意味の説明など」をしたので,「作業の意味を指導し,関心を引きあげる」という評価の意図に反するものではなかった。

 この評価場面がなければ見落としたかもしれない,いわゆる「形式的に参加しているにすぎない」子どもを11名も観察することになったのは,作業の目的,方法などを理解させる指導が十分でなかったためであると思われる。

 以上の評価結果及び考察をとおして,次のような問題を確認した。

・観察法では,いかに基準を設けても,それが指導者の主観によって行われるところが大きいために,見落とし,見誤りがあること。
・作業の様子などを見ながら観察するとき,言動の活発な子どもに「関心・態度」が高いという短絡的な評価をしがちであること。

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