研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -035/049page
2 「関心・態度」の形成過程と評価
「検証授業3」において,「社会的事象に対する関心・態度」を評価しようとするとき,下位目標の1,2,3の評価をしないで,下位目標の4だけで評価することができないわけではない。しかし,たとえば,下位目標の1,2,3の評価をすることなしに,下位目標の4だけの評価を試みたらどうであろうか。この授業における「社会的事象に対する関心・態度」の評価結果は得られるであろうが,その結果には,違いがあるはずである。
前述の「まとめ」の文章例で,CあるいはDと判断された子どもは,それよりも前の段階での「関心・態度」が十分でなく,それが形成過程の連続を断ち切っているのではないかと考えることができる。そして,逆に,AやBに判断することができた子どもたちの中には,そこに達するまでに,下位目標1,2,3の評価によるフィードバックがあったために,そこまで高まったものがいると考えることもできる。
つまり,下位目標1,2,3の評価は,学習指導の面から見ても,「関心・態度」の評価の面から見ても,子ども一人一人の「関心・態度.を的確にとらえ,効果的な指導をするために重要な働きをしているのである。
下に示す表8は,「検証授業皿」における下位目標1,2,3,4の評価結果について,「まとめ」の文章例で抽出した子どもたちのものを,目標に対応させて整理したものである。
また,表9は,一下位目標の4でA,B,C,Dのそれぞれに判断された子どもの中に,この授業後,「製鉄に必要な水の確保や処理」について,さらに調べたい,あるいは学習したいと考えている子どもがどれくらいいるかを表したものである。
表9 水に関心を示した児童の割合
評価段階 下位目標4の評価結果 「水」について学習したいと考えている。 各評価段階の中でなを「水」について学習したいと考えている児童の割合 A 15人 15人 100% B 12人 5人 42% C 7人 2人 29% D 2人 0人 0%