研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -036/049page
表8を見ると,
Aの男子H・Nの場合,VTR視聴後,はじめストリップミルに関心を示したが,その後の指導で,「製鉄所ではどれくらい水を使うのか」に関心を向け,予想を持ち,さらに,水の必要量を実感するための作業に進んで取り組み,「製鉄における水の必要量を感動を持ってとらえ」ているということが言える。
また,Cの男子丁・Nの場合は,VTR視聴後,製鉄のためのさまざまな機械に注目したが,その後の指導で,いったん「水の量」について考える方向に向いていった。しかし,作業への取り組みの際に,いまひとつ関心が高まらず,結局,Cの評価基準にあてはまる内容の「まとめ」を書いて,この時問の学習を終わったとみることができる。
このように,子ども一人一人について表8のように整理し,これを縦に見ていくことにより,子ども一人一人が,「関心・態度」について,どのような形成過程を経ていったかを見ることができる。
以上のような観点から見ると,たとえば,H・N,K・K,H・Sという表8左から3名については,「関心・態度」の各階層を,次第に高まりながら通過してきたと考えることができ,AのAたるゆえん,あるいはBのBたるゆえんは,その形成過程によることが大きいと考えることができる。同様の観点から,たとえば,Cの女子T・Uについて見ると,この子どもは,VTR視聴後,水に注目し,水の必要量についても関心を示していた。ところが,作業の段階から関心が他に向いたか,あるいは意欲を失ったかして,結局Cと判断できる「まとめ」を書き,導入段階における水に対する関心も,「きかい」に対するそれに変わってこの時問の学習を終わっている。
「関心・態度」の評価にあたっては,以上のような視点に立って,子ども一人一人の形成過程を見つめていくことが大事であり,そうすることによって,学習指導と評価の一体化が図られるのである。学習指導にとって,ここに述べているような下位目標の評価とそれにともなうフィードバックは,その効率を高める上で,きわめて重要であるといえる。それは,表8において,下位目標4の評価でAからDへとその評価の低い子どもほど,「関心・態度」の形成過程の初期の段階からマイナスチェックが多いということからもわかることである。
「関心・態度」の評価にあたっては,以上のような視点に立って,子ども一人一人の形成過程を見つめていくことが大事であり,そうすることによって,学習指導と評価の一体化が図られるのである。学習指導にとって,ここに述べているような下位目標の評価とそれにともなうフィードバックは,その効率を高める上で,きわめて重要であるといえる。それは,表8において,下位目標4の評価でAからDへとその評価の低い子どもほど,「関心・態度」の形成過程の初期の段階からマイナスチェックが多いということからもわかることである。
「関心・態度」の評価にあたっては,以上のような視点に立って,子ども一人一人の形成過程を見つめていくことが大事であり,そうすることによって,学習指導と評価の一体化が図られるのである。学習指導にとって,ここに述べているような下位目標の評価とそれにともなうフィードバックは,その効率を高める上で,きわめて重要であるといえる。それは,表8において,下位目標4の評価でAからDへとその評価の低い子どもほど,「関心・態度」の形成過程の初期の段階からマイナスチェックが多いということからもわかることである。
以上のことから形成過程と評価については,次のようなことがいえる。
・「関心・態度」の下位目標の評価にあたっては,いくつかある下位目標相互のかかわりを重視すべきであること。
・下位にある目標ほど的確な評価をし,必要に応じてフィードバックすべきで,その確実な積み上げが,単元の目標の達成には欠かすことができない。3 授業そのものに対する「関心・態度」の評価
ア 「関心・態度」と認知的な側面とのかかわり
「製鉄における水資源の確保とその有効な活用ににいて興味を持って追究する」という「社会的事象に対する関心・態度」の目標は,図4(P18)に示すような「関心・態度」の高まりの過程を通して達成されるものである。しかし,この情意的な側面の目標は,それが,他とかかわりなく独自に高まったり,育てられたりするのではなく,認知的な側面との相互補完の関係