研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -037/049page

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の中で達成されるもので,そのかかわりは図4(P18)の右側に矢印→で示すとおりである。P19,26行目以降でも述べているように,「鉄の生産工程のあらましが分かる」ことは,認知的な側面にかかわるものであると同時に,「関心・態度」の深化・発展に欠かすことのできない基盤にもなっている。このことは,「鉄の生産工程についての知識・理解」が十分でないと,認知的な側面のみならず情意的な側面の目標達成にも支障をきたすということである。

 従って,「鉄の生産工程のあらまし」を理解させる授業は,この単元の学習の中で,中心的な位置にあり,その指導は,目標の構造を十分に考慮して進められることが大事である。

 次に示す図9は,「鉄の生産工程がわかる」ことが,認知的な側面と情意的な側面の両方の目標に迫るために,欠かすことのできない内容になっていることを表したものである。

図9 鉄の生産工程がわかることと認知,情意的な側面の目標とのかかわり
図9 鉄の生産工程がわかることと認知,情意的な側面の目標とのかかわり

 図9の1,2,3は,「関心・態度」の小単元の目標である。これらの目標に,「鉄の生産工程がわかる」ということがどうかかわっているかは,次の表10に示すとおりである。

表10 「鉄の生産工程がわかること」と「関心・態度」

「鉄の生産工程がわかる」こととのかかわり・製鉄所の立地は,鉄の生産工程によって条件づけられてくるところが大きい。・原料との関係からの臨海立地・一連の生産工程と工場敷地との関係・生産技術を問題にしようとするとき,工程のどの部分のどんな作業かが明らかでないと進歩の意味がとらえられず,従事する人々について共感的であることが難しくなる。・圧延工場の役割・熱い鋼をどのように冷やし.のばすか・製鉄に必要な資源の確保と利用は,鉄の生産工程の理解なしには考えられない。・原料としての鉄鉱石などを外国からの輸入にたよる・鉄の生産には,大量の水が必要

 「鉄の生産工程がわかる」というのは,単に下の図10に示す(A)のような流れや,原料,工場など名称がわかるということではない。(B)のような,それぞれの働きや内容についてのおよその理解をともなって「分かった」ということになるのである。

図10 「鉄の生産工程」
図10 「鉄の生産工程」


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