研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -039/049page
々の授業の中では,かなり行われていて,それが,学習指導や社会的事象に対する「関心・態度」の評価に有効なフィードバックを可能にしているからである。「今日の授業では,なんとなく定着が悪かった」ということがあるものである。それは,テストやアンケートという形をとらなくてもわかるものであり,意図的に「評価をするのだ」と身構えなくとも,日々の授業の中で自然におこなわれているものである。
授業後,指導者は,このデータ処理の結果を待たず,治療計画を持った。次の時間の指導計画の改善である。次の時間のはじめの部分に,「鉄の生産工程の理解の定着を図るためのVTRの視聴」を位置づけたのである。
ここにおいては,次のようなことをまとめることができる。
・学級全体の,授業に対するr関心・態度」の評価を適宜おこなうようにし,必要に応じてフィードバックすることが大事であること ウ 子ども一人一人の,授業に対する「関心・態度」の評価
「検証授業2」における子どもたち一人一人の,授業そのものに対する「関心・態度」は,
ア よそうをたてたところ と
イ カードをならべたところ では,下の図に示すようになっている。
この図は,前述の「学級全体の,授業に対する関心・態度」のデータを個人ごとに整理したものであるが,この場合には,子ども一人一人が,授業の中でどう「関心」を変えていったかをとらえることができる。2,3,12,27,36の5名が,授業に対する関心を高めているだけで,学級の子どもの60%弱が「すすんでできない」方向に変わっていることがわかる。ここで特に注目したいのは,△に矢印がついていない子ども,つまり,よそうの段階でつまずいていて,追究の段階でもなお,あまりすすんでできなかったという子どもである。評価を学習指導に生かすということは,このような子どもに,個別的,具体的にフィードバックを行うということなのである。これとは逆に,たとえば,12番の子どものように,著しくその授業に対する関心を高めている者について,その要因が何であるかをさぐることも,学習指導に評価を生かそうとするときに留意したいことである。
授業そのものに対する「関心・態度」の評価と「社会的事象に対する関心・態度」のかかわりについては,まだ明らかにとらえきれないことが多いが,現在,次のようなことがいえる。
・授業そのものに対する「関心・態度」の評価を適切におこない,それを学習指導に生かしていくことは,認知的な側面の学習を確かにするだけでなく,間接的に「社会的事象に対する関心・態度」を高めることになるということ。