研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -023/043page
耐性特性〔自己統制力(自律心)〕 学校生活の場面
〔児童生徒〕
問い じゅ業が始まりましたが,ようじがあって先生がいらっしゃいません。友達がさわぎ始めたら,あなたはどうしますか。 〔教 師〕
問い 最近の児童生徒は,他律的で自律心がないと一般に言われています。あなたの学校では,どうですか。 ほとんどギャップがないとみることができる。
ここで問題とすべきことは,禁止されているにもかかわらず,「遊ぶと思う」と答えている児童生徒が少なからずいるということである。そして,このことが,次の学校場面における回答に表出されているものと考えることができる。
学校場面での調査によると,児童生徒・教師とも,ほぼ類似した傾向で,選択肢1,2に集中している。特に,中学生では「いっしょに騒いでしまう」が目立ち,小学生ともども騒いではいけないという意識に乏しく,勝手な行動となって表れてきているものと思われる。そして,教師の回答もこれらの行動を裏付ける結果となっている。
児童生徒の自律心についてまとめると,規範意識の低下の傾向がみられるだけでなく,友人関係などから行動が他律的になりがちで,自らの行動を自らの判断で決定し,行動するという強い意志が欠けているように思われる。他からの働きかけに動かされない自律的意志を家庭・社会における幼児期からの教育はもちろん,学校教育においても重要視し,他律期にある小学校の低学年からその基盤を培っていくことが必要であろう。