研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -028/043page
耐性特性〔感情・情緒(寛容・寛大)〕 家庭生活の場面
〔児童生徒〕
問い どうしてもやってもらいたい用事をお母さんにたのんでおいたのですがお母さんにつごうがあって,それをやっていなかったとき,あなたはどうしますか。 〔保護者〕
問い あなたが子どもからたのまれたことを,都合があってできなかったというような場合,お子さんはどうしますか。 家庭場面における児童生徒の寛容・寛大についての回答は,選択肢2の「少し文句を言う」が多くなるという予想とほぼ一致していた。すなわち選択肢1,2についての回答を合わせると,小学生で40%強,中学生では更に多く70%強が「少なからず文句を言う」としている。逆に,選択肢3,4の「ほとんど文句は言わない,しかたがない」に回答した者を合わせると,小学生では思いやりがあるとみられる児童が,半数以上いるが,中学生では30%にも満たない点が問題視される。
そして,小・中の保護者とも「激しく,あるいは少し文句を言う」を合わせると,約80%になっており,子供の寛容・寛大な心の乏しさを示しているとみられる。また,親に対して「激しくくってかかる」児童生徒がいるということは,見逃しにできないことである。
これは,寛容・寛大な心には,自己自身の主体的な意志のもとに,他者に対して思いはかる心情,つまり同情心が働いていると考えたとき,正しいことを主張することは大切なことではあるが,親に対する不満感情の表れとみることができるからである。