研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -031/043page
この設問に対し,児童生徒の回答は,「あまり考えなかった」に集中するであろうと予想したが,調査結果では,「少し考えた」,「よく考えた」を合わせると,小学生の66%,中学生の56%が比較的計画的な取り組みをしていると回答している。しかし,「全く考えなかった」という子供がいることにも注目したい。
また,保護者や教師への設問は事象こそ異なるが見通しをもった生活ということに視点を当て子供の姿をとらえようとしたものである。
保護者からみた場合,子供が見通しをもった生活が「少しはできる」,「大体できる」とする回答を合わせると,小・中ともに88%であり,子供自身より親は高い評価をしている。
一方教師は,選択肢3,4を合わせると小・中ともに65%台にとどまり,保護者よりも厳しい見方をしている。更に,見通しをもった生活が「あまりできない」という指摘が,小・中ともに約30%もあることは見逃せないことである。
設問の内容などはやや異なっていても,三者の関係を総括的にみると,児童生徒自身の評価した選択肢1,2を合わせて「全く」あるいは「あまり」考えなかったが小学生で34%,中学生で45勉もあることや,教師の指摘する,見通しをもった生活が,「あまりできない」が約30%もあることなどから考え合わせると,洞察力に乏しい児童生徒が少なからず存在するとみることができる。
しかし,保護者の場合は子供の回答とかなりずれがみられるが,家庭においてはこれが子供の真の姿なのか更に吟味したいところである。
いずれにしても,洞察力そのもののもつ意味は「見ぬくこと」,「見通すこと」ということであり,見通しをもった生活の中からこそ耐えてやり通すという耐性が醸成されるのである。
2 耐性を阻害する特性・要因からとらえた児童生徒の実態とその考察
耐性特性〔衝動性(軽率)〕 学校生活の場面
〔児童生徒〕
問い あなたが図書館で本を読んでいるとき,そばで友達がおもしろいテレビ番組の話を始めました。あなたはどうしますか。 この調査は,理性的判断や反省なしに行動してしまうという衝動的な動きの中から耐性との関連をみようとしたものである。調査結果では,小・中ともに「ちょっと読み続けるが,そのうちまざる」が最も多く,全体の47%になっており,当初の予想より少ない結果となっている。しかし,中学生の39%が「すぐ読むのをやめて話にまざる」と回答しており,主体性の乏しさと併せて軽率な一面をうかがうことができる。
反面,小学生に目を向けると,中学生と同様な傾向がわずかにみられるものの,「がまんして話にまざらない」が26%となっている。