研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -036/043page
教師は耐性を阻害する特性として,「意志薄弱」,「衝動性」,「人問関係のひずみ」,「目標・価値観の喪失」などを上位に挙げている。「意志薄弱」を第一位に挙げている背景には,最近の子供は,ともすると自己を抑制することができず,他の誘惑に負け,目前の楽しさだけを追い求めていくことが比較的多くみられるということを反映しているものと思われる。
更に,前設問の耐性を促進する特性として「意志カ」を第一位に挙げていることから考えても意志の弱さが耐性を阻害する特性ととらえていることは妥当な見方と言える。また,意志が弱いということは,「人間関係のひずみ」と併せて自己統制が弱いということであり,自分でも悪いと知りながら安易に反社会的あるいは非社会的行動に向かう素地になっているのではないかとみられる。
また,「衝動性」について言えば,児童生徒はともすると理性的判断や自己の反省なしに,突発的な行動をとったり,「カツ」となると前後の見境もなく相手に暴カを振う行為などが日常生活の中に見られることなどから,この特性に目を向けたのではないかと言える。
いずれにしても,耐性の醸成を阻害するものは単に一つの特性のみが働いて阻害するのではなく,望ましい発達を遂げようとするそれぞれの段階でいろいろな特性が複合的に作用しあっているものと言えるが,耐える力を支えるものは,やはり強い意志ではないかと考えられる。
持続力や集中カということが意志の強さの具体的な姿であり,ここに忍耐力ということが問われ,耐性を培うためには,強い意志がその基盤をなすものと思われる。