研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -038/043page

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● 意志力

 家庭及び学校生活の場からとらえた児童生徒に対する調査の結果を総合すると,意志力はあると自己評価していることが分かる。保護者もまた同様に評価している。

 しかし,教師は,学校生活全般を通してみた場合,必ずしも意志力はあるとはみていない。

 この評価の違いは,児童生徒,保護者には実際の場面における受け止め方の甘さがあり,過大評価しているのではないかと思われる。

 その点,教師は,広い視野から総合的に評価していると考えられるので,この評価の方が妥当性があるとみることができる。

 意志力は,要求・欲求,意欲・やる気などの要因を含んだ総合的な力と考えられるので,これらの働きをもつ意志カを,児童生徒の発達段階に即して,順次培っていくことが大切である。

 このことを裏付けるように,教師は,耐性を支える特性として意志カを第一位に挙げている。

● 耐久力

 耐久力についてまとめてみると,小学生,中学生ともに,家庭,学校いずれの場でも耐久力があると自己評化している。

 これに対して,保護者や教師は,具体的場面での受け止め方には,多少の相違はあるにしても,全体的には,耐久力に欠ける面があるとみていることが分かる。

 児童生徒と保護者や教師の見方の違いは,前者は設問が限定された一面的な評価であるのに対して,後者は日常生活全般を見渡した,多面的な評価であると考えられるので,保護者や教師の見方に,より妥当性があるとみることができる。

 したがって,耐久力を育てるために,どのようなことに対しても,耐えてやりぬくということを,具体的な実践の場を通して体得していくことができるように,家庭でも学校でも指導していくことが大切であると言える。

● 自己統制カ

 自己統制カについてみると,保護者は,前ぺ一ジのグラフでも分かるように,それほど高い数値ではないが,自己統制カがあるとみている。

 これに対し,教師は,自己統制力に乏しい児童生徒が,かなりいるとみている。

 このように両者の見方に違いはあるが,自己統制力は,本来,幼児期における親のしつけを始めとし,更には,対人関係等を通して身につけていくものと考えるならば,このとらえ方の違いこそ問題があろう。

 保護者の自己統制カがあるというとらえ方は,子供を過大評価しているなど,その実態を的確に把握していないように思われる。

 したがって,自己統制力を培うためには,差し当たり,家庭におけるさまざまな行動などを指導の機会とすることはもとより,保護者や教師からの意図的な働きかけや指導がより大切であると言える。

● 感情・情緒

 感情・情緒についての適応カ,寛容・寛大の調査結果をみると,小学生は,全体的に,感情の起伏が少ない,あるいは,情緒が安定しているとみることができる。中学生も小学生より数値は低いが,同様のことが言える。

 しかし,家庭生活においては,甘えやわがままがある程度許されるためか,子供は,寛容・寛大な気持ち・態度があまりないと意識し,親もそのようにみている。

 更に,学校生活における児童生徒の感情・情緒について,教師は,相手をゆるすとか,


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