研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -008/049page
・ 家族の経済状態
● 学校環境
・ 教師,児童生徒集団の特徴
・ 転校,学級編成
● 社会環境 ・ 住居,近隣の状況 ・ 家族の地域における活動状況
● その他実存的次元
● 社会的規範性
● 社会的慣行への志向
● 道徳性
● 自己実現のレベル
● よりよく生きることへの意欲
● 家族の倫理観,人生観
● その他反社会的行動をもつ児童生徒への教育相談を進めるに際しては,その児童生徒の成長過程にそって,問題行動の背景を多次元的に把握し,それを基にして総合的に診断を行うことにより,より適切な指導援助を進めることが可能となる。
しかし,ここに掲げた4つの次元の内容は,必ずしも画然と区別されるものではない。このことは,児童生徒の問題の現象を見ても同様のことが言える。従って,問題によっては,この4つの次元にこだわることなく,必要と思われる視点から必要な資料を収集し,それに基づいてより適切な教育相談を進めることが大切である。
5 反社会的行動をもつ児童生徒の教育相談の進め方
(1) 教育相談の手続
教育相談にあたっては,まず「問題の確認」をする。次にその問題をより明確化するために,多元的に「資料の収集」を行う。そして,資料を検討,解釈して,問題となる行為や行動を「診断」する。これに基づき,「指導仮説」をたて,「指導援助」し,「問題行動の改善・解決」を図り,「再適応」を果たさせるようにする。
図4は,この一連の手続きを示したものである。
ところで,実際の教育相談においては,この手続きは,問題行動が改善・解決されるまで繰り返される。また,資料収集の過程でも同時に診断し指導仮説をたてるなど,複合化しても進められていく。さらに指導援助の効果が十分でない場合に