研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -009/049page

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は,資料の収集や診断等へのフィードバックを行う。そして,一連の流れの中で,予想外の問題や緊急事態が発生した時には,危機介入〈crisis intervation〉の原則にしたがう。

 以下,この手続きの内容を説明する。

 (2) 問題の確認

 このことには,「主訴」と「問題の概要」とが必要である。主訴とは,今表している問題行動もしくは一連の問題行動の中心になる行為や行動のことである。問題の概要とは,主訴と直接的にかかわる問題行動である。

 (3) 資料の収集

 1 収集する資料の内容

  ア ー般的な資料
   ・ 本人の氏名,学校名,学年,性別,生年月日,住所等
   ・ 両親の氏名,職業,学歴,兄弟姉妹等

  イ 現象(誕生以来の問題行動史)

  ウ 四つの次元に関する資料(「4,反社会的行動の背景」参照)

  エ その他

 2 資料収集の方法

  ア 観察
   ・ 個人による観察
   ・ 組織的な観察

  イ 面接
   ・ 個人面接
   ・ 集団面接

  ウ 検査
   ・ 個別式
   ・ 集団式

    なお,検査においては,問題をより的確に把握するために,いくつかの心理検査を組み合わせて(テスト・バッテリー)実施する。また,反社会的行動をもつ児童生徒の親や家族,所属する集団にも心理検査を行う場合がある。図5は,反社会的行動をもつ児童生徒等へのテスト・バッテリーの例である。

図5 反社会的行動をもつ児童生徒へのテストバッテリーの例
図5 反社会的行動をもつ児童生徒へのテストバッテリーの例

  エ 既存資料の活用知能,学カ,身体の発育,健康診断,生育歴等に関する既存の資料を活用する。

 (4) 診断

 診断とは,収集した資料を検討,解釈し,児童生徒の問題行動の性格や程度,発生の要因を的確に把握して,問題を類型化することである。換言すれば,児童生徒の行為や行動が「一体,何であるか」を明らかにすることである。

 また,診断は特に次のことに留意して行い,その機能が十分に発揮できるようにすることが大切である。すなわち,

 1 問題行動の背景を構造的,科学的にとらえこれからの指導援助の目標や最も適切な指導


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