研究紀要第62号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -012/049page

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箱庭療法  一定の砂箱(57x72×7p)に,ミニュチア玩具(人,動物,樹木,花,動物,建物,怪獣など)で,自分のつくりたい作品をつくらせることにより,自己主張させて問題解決をはかり,さらに,人間的に成長させる。  箱庭を自由な雰囲気の中でつくらせ,自分の内面への気づきをはかる。表現された箱庭を制作者に対して解釈をしない。また,連続して作られた箱庭を通して内面を理解する。そのため写真などにより記録にとどめるようにする。
行動療法  適応行動を新たに学習させたり,再学習させて,適応をはかる。  最終目標を反社会的行動をしないことに定め,段階的に改善をはかる。しかし,目標は,子供が希望するものであり,目標達成度が測定可能であること,また,具体的・実現可能なものにする。
 ロール・プレイング 他の人々の社会的な役割や自分自身の新しい役割を即興的に演じることにより,他の人の立場を見ることができたり,新しい自分を発見できることによって,対人関係の障害を改善する。  親子関係や教師との関係,また,友人関係におけるトラブルをテーマに親の役,教師の役,友人の役を演じさせ,それぞれとの望ましい人間関係のあり方に気づかせる。
交流分析  構造分析,やりとり分析,ゲーム分析,脚本分析をもとに自分への気づきをはからせ,新しい自分を発見することによって,人間関係を自分でコントロールできるようにさせる。  日常における言動を自己分析させて現在の自分へのふり返りをはかり,望ましい自己を発見させる。
ゲシュタルト療法  個人の中にある性格のバラバラな断片を発見させ,それらを統合し,自分に対する自信の核をつくらせる。  一瞬一瞬の自分に気づかせ,その意味を考えさせ自分自身で行動の変容をはからせる。
読書療法  人格や行動などの問題に対して,適切な指導的価値を持った図書を読書させることにより,問題の改善をはかる。  規範性,倫理観の大切さを内容とした図書を読書させ,感想文を提出させる。その後.感想文をもとに内容を深める。子供の年齢,興味,能力に合った図書を選択する。
家族療法(システム論的)  個人は家族というシステムに所属し生活をともにしてきている。従って,個人がひきおこす問題行動の多くは,家族システムの問題が反映しておこされると考える。そのため,家族システムの改善をはかる。  児童生徒の問題行動は家族システムのゆがみを代表した表現形であるため,問題行動を起こした児童生徒だけを問題にしない。そのため,家族全体でカウンセリングをうけることの契約をさせ,指導援助者が具体的な目標を設定しておくようにする。 なお,家族システムを望ましい機能充実型(下図)になるよう働きかける。

親子関係図

 家族システムの表し方は、家族間の情動面やコミュニケーションの面の結びつきを線で結びまとめる。結合の強さは 三〉=〉一〉……である。
危機介入  危機(家族の死,自殺企図,事故など)に直面している人は,非常に混乱し自己理解ができず助けを求めている。そのため,効果的に対応し,危機を回避させるとともに適応を推進させる。  危機場面では,接近性(危機場南の近く),即時性(危機が生じたら即座に),見適し(具体的な見通しを持って),係留(周囲の人たちに支えられているという気持ちを持たせて),委任(指導援助者を信頼させて)の5条件で対応する。

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